梅下のとはずがたり

思いつきを長々と語るブログ

2月のあれこれの話

2月は逃げるとはよく言ったものです。

短い月のわりにいろんなことがありました。

年が明けて、あれこれとかまけているうちにもう梅の咲く頃です。

どこかで梅見をしたい気持ちはありますが、全国的に緊急事態宣言が解除されたら人出が増えてしまってまた危ないかなと案じてしまいます。

でも屋外ですし、どこかで機会を見つけて楽しめるくらいで十分なんですが(欲を言えばその場でブログを更新したりしてみたいけどそれくらいならできるか?)、ただ「梅を観る!」というほどの大きさの梅の木は近くにないんですよね。

(私が知らないだけだろうか??いやたぶんない)

 

◆鬼滅な話

節分に合わせてなのか?今月は『鬼滅の刃』関連の新書籍や新情報があって、楽しませてもらいました。

どれが一番ということはないのですが、特に話題になったのはアニメ2期「遊郭編」テレビ放送決定でしょうか。

https://youtu.be/0jqxkDfmvYo

音楽がかっこいい…!

遊郭編は個人的には一番好きな話ですし、物語内の時間の流れが数日かかるのでこれは映画で一気に観るのではなく、テレビでやってほしいと思っていたのでこれは嬉しいお知らせ。

夜景の絵もきれいで期待は高まるばかりです。

 

あと本編からは逸れてしまいますが、キメツ学園 バレンタイン編もありましたね。

実は当日、あろうことか寝過ごしてしまったのですが…ネットの力に救われました。

(公式さん優しい…。)

一気に視ました。おもしろかったです。

原作と違ってバレンタイン当日まで描かれていて既読でも楽しめました。

 

◆書籍のこと

鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐 (ジャンプコミックスDIGITAL)

公式ファンブック2が出ましたね。

その後のお話も読めるということで、購入された方も多かったのではないでしょうか。

物語進行上、描かれなかったキャラクターの設定もぎっしり詰まっています。

個人的には考察のヒントとかないかしら、という下心があったんですけど、そんなものは素で読んだところではヒトカケラも見出だせませんでした。ヒトカケラも。

その徹底ぶりを尊敬しています。

見所がたくさんあるファンブックですが、個人的にはおまけマンガとして収録されている初代担当さんとのやりとりが興味深かったです。もっというならその中に登場する「連載を打ち切られないための虎の巻」が気になります。

漫画家じゃないけど、その虎の巻は読んでみたいです。

 

『鬼滅の刃』吾峠呼世晴画集―幾星霜― (愛蔵版コミックス)

 

私は漫画だけでなくイラスト集を眺めるのもわりと好きなんですが、吾峠先生の絵は仕草や表情が生き生きしているところが好きです。

漫画だと物語やその状況が伝わるような絵を描かなきゃいけないと思うのですが、イラストはキャラクターの人物像や雰囲気に焦点が絞られていたり、本筋とは違う世界観で描かれることもあり、これはこれで見ていてとてもおもしろいです。

このイラスト集は描き下ろしも多数含まれていて、白黒なんですけど、良いです。

かっこいいものあり微笑ましいものあり。

ストーリー重視だからイラスト興味ないわという方もいらっしゃるとは思いますが、カップリングが好きな方には、かまぼこ隊のその後を思わせるイラストも含まれているのでおすすめです。

戦いが終わった後の柔らかな表情が素敵です。

 

◆まとめ

長々書いてるうちに2月が終わってしまいました。

最近、制限を設けるところとそうでないところがはっきりかつ限定的になってきたので、今年は去年よりは全体的に忙しくなっていくのかなと予想しています。

なかなか先は見えない世の中ですが、体に気をつけて、乗りきっていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ネタバレ含む】冨岡義勇の考察

 

今回は義勇さん、冨岡 義勇の名前の由来などを主に考察してみたいと思います。

思いの丈があり余り過ぎて(いつものことですが)そこそこの長文です。

最低限にとどめる努力はしますが、コミックス最終巻までのネタバレを含みますので、一滴も知りたくない方はご注意ください。

(2020.1.18.誕生日の項、少し追記しました。)

 

鬼滅の刃 5 (ジャンプコミックスDIGITAL)

◆まずプロフィールから

冨岡 義勇(とみおか ぎゆう)
2月8日生まれ。
年齢21歳。
東京府豊多摩郡野方村(現:中野区 野方) 出身。
水の呼吸の使い手で最高位の水柱。
強さは申し分ないが、寡黙で口を開いても言葉足らずな場面が多々あり、周囲の誤解を招きやすい性格。
そのため周囲から浮いていたり一部には本気で嫌われているが、本人はなじめていないだけで嫌われているとは思っていない。
鬼の襲撃からかばってくれた家族や親友が死に、自分だけが生き残ってきたことに対して自責の念が強く、自身の存在価値について否定的。
鮭大根が好物。
動物が嫌い。(昔、犬に噛まれたことがあるため。)


◆名前の由来

名字の冨岡は鎌倉幕府の鬼門除けとして創設された富岡八幡宮から取られていると考えています。
東京にも分霊された富岡八幡宮がありますが富岡八幡宮の名前よりは深川八幡宮の通称で親しまれています。
江戸三大祭りの一つ深川八幡祭り、別名 水掛け祭りが有名です。
冨と富の字が違いますが、この二つの字は意味としてはあまり明確に区分されていないようですので、個性を出すためにも変えてあるのだと思われます。
あるいは今の漢字で富士山に使われている富の字を避けたのかもしれません。
(富士山は火山なので火のイメージが含まれてしまいます。)


下の名前 義勇は幕末から明治にかけて活躍した佐賀藩出身の島 義勇(しま よしたけ)に由来していると考えられます。
佐賀七賢人の一人ですが、その功績は佐賀県より北海道、特に札幌において有名です。


島義勇の主な功績は北海道の開拓で、札幌の都市設計から建設まで携わり、「北海道開拓の父」とも呼ばれています。

興味深いのは開拓者でありながら、風水師の一面を持ち合わせている点です。


島 義勇は札幌の街を設計するにあたり出身の佐賀藩や京都の街を参考にしており、札幌市は三山に囲まれ一方が開けた地形を選んで造られ、碁盤の目のように整備されています。
羊蹄山から発したエネルギーが豊平川と琴似発寒川(ことにはっさむがわ)に運ばれて水龍の気となり、北海道神宮開拓神社境内で合流、一体の大きな龍となって大通公園、ひいては街へと流れ込みます。
札幌の街は風水にのっとって創られた水龍の街という言い方もできるでしょう。


風水で言えば水の属する方位は北です。
日本の北、水龍の気が流れ込む街や神社を創設した人の名前は、いかにも水の呼吸を極めた水柱にぴったりの名前だと思います。


◆片身変わりの羽織が表すもの

義勇さんに北のイメージが込められていることは羽織からも読み取れます。義勇さんの羽織りは半々で柄の違う片身変わりであり、姉・蔦子と友人・錆兎の形見代わりであることはよく知られていることだと思いますが、柄を詳しくみてみたいと思います。
錆兎の形見の変わり毘沙門亀甲という柄、お姉さんの形見は無地で暗めの赤です。


変わり毘沙門亀甲とはその名の通り、毘沙門天からモチーフをとった柄です。
毘沙門天は仏教の武神です。単独で祀る時は毘沙門天と呼ばれますが、四天王として祀られる時は多聞天とも呼ばれ、国土、北を守護する神だと言われます。
黄色のY字の柄は鎧の金鎖を表しています。
亀甲は四神の北を守護する玄武を連想させると同時に、出雲系の神社の紋に使われている柄です。
出雲系の神社といえば水神スサノオを祀っている神社が多く、また錆兎は因幡の素兎をモチーフにしていると考えられますので、錆兎にも関連のある柄だと言えます。


その姿は唐時代の武将の姿で表現されるのが一般的で、邪鬼の上に乗っている(踏んでいる?)ことも多いです。
さらに派生的な姿として、兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)があります。
西域兜跋国(今のチベット  トルファンのあたり)に現れたという毘沙門天で、一般的な姿と違い、金鎖甲(きんさこう)という鎖を編んで作った鎧に、海老籠手(えびごて)と呼ぶ防具を腕に着け、足元には地天女と二鬼、頭に筒状の宝冠を被った異国風の姿をしています。


毘沙門天像は全国各地にありますが、福岡県 太宰府市観世音寺には9世紀頃に作られた兜跋毘沙門天像があります。
国土を守護する神様として、古代都市・大宰府の羅城門に置かれていたのではないかという見方が有力視されています。


つまり羽織の変わり毘沙門亀甲柄は毘沙門天の中でも派生した毘沙門天→兜跋毘沙門天を意味しているのではないでしょうか。


もう一方の無地の羽織を見てみます。
柄がありませんし色も印刷や明るさの違いで微妙に変わってしまうので難しいところですが、前述の兜跋毘沙門天の特徴の一つ、海老籠手がこちらに表現されているのではないかと考えました。
無地ですので色、つまり海老色です。


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カラーサイト.comより
作品内では別々の人から受け継いだ着物とされていますが、実は二つの柄で一つのものを表していると思われます。


◆もう一人の主人公

義勇さんのキャラクターには北と水がモチーフとして含まれていることを説明してきましたが、この二つと関連があるもう一つ大事なモチーフが隠されていると私は考えています。
そのモチーフとは星です。
もっと言えばその星は北極星です。
なぜ北極星が関係し、そして隠されているのか、その意味を考えていきたいと思います。


鬼滅の刃」の前の作品に、デビュー作「過狩り狩り」、「鬼滅の刃」前身の作品で「鬼殺の流」(ネームの形で三話まで公開)という作品があることをご存知の方は多いと思います。


両作の主人公は特徴がよく似ており、寡黙で孤高、鬼に手足を奪われながらもハンデをもろともしない凄腕の剣士です。
(「過狩り狩り」の主人公は腕、「鬼殺の流」の流は両足と片腕を失っています。両作とも目に怪我をします。何かの伏線かも?)


吾峠先生もかなり思い入れを以て創られたキャラクターだと思いますが、「鬼滅の刃」の連載では読者の共感を得やすい主人公を、ということで炭治郎が主人公になりました。


しかし「過狩り狩り」・「鬼殺の流」を読んだ方の多くは外見に加え、寡黙で孤独な空気を漂わせる凄腕の剣士が冨岡 義勇の特徴と似ているという印象を受けたのではないでしょうか。
主人公を変更したとしても、思い入れの深いキャラクターを「鬼滅の刃」でもメインキャラクターの一人として活躍させたいと考えることは何ら不思議ではありません。


ですが、このキャラクターたちが似ているからといって、前身作品の主人公→冨岡義勇を確定させる根拠はこれといってなく、現時点では明確に言及されてはいないと思います。
あくまで似ているだけに過ぎません。


私は「鬼滅の刃」の前身となった二作品の主人公たちは義勇さんに受け継がれている、それが北極星をキーワードを根拠に読み解けると考えました。


「過狩り狩り」・「鬼殺の流」の主人公たちは手足を失っていますが、「古事記」や「日本書紀」にその姿が似た神様が登場します。
その神様とは、ヒルです。
古事記ではイザナギイザナミの最初の子として生まれますが、日本書紀ではアマテラス、ツクヨミヒルコ、スサノオの順で生まれたとされます。
炭治郎のモデルになっているスサノオの兄にあたり、鱗滝一門の兄弟弟子の関係とも重なります。
また、義勇さんの名字の由来になったと思われる冨岡八幡宮の祭神には、蛭子神様がいます。


太陽と月、海の神のきょうだいの一柱として生まれたヒルコ神ですが、三年経っても足が経たなかったことからアメノイワクスフネに乗せられ海に流されてしまいます。


現代の私たちがこの話を普通に解釈するなら、ヒルコ神とは障害を持って生まれ、親に捨てられたというネガティブな印象の神様だと思います。
それがなぜ記紀神話に描かれているのでしょうか?
これは昔から不思議に思われてきたことでしょうし、専門家によっても見解が分かれるところだと思います。


その中で、江戸時代の曲亭馬琴が「玄同放言」という書物において興味深い説を述べています。


昔は蛭子(ヒルコ)を日子(ヒルコ)と書き、昔は星をヒルコ、縮めてヒコともいっていたそうだ。つまりヒルコは星の神である。どの星かというと北極星で、北極星は(動かないので)足が立たないもののようであり、海に流されたのは、易での坎(かん)が水を表し、北をさすからで事文類聚に載っている星は水の精であるということが根拠である。
(※「黄華堂」様(http://www.oukado.org/index.html)のサイトを元に簡単にまとめています。)


ヒルコ神が流された後にどうなったか、神話では書かれていませんが、後世の人々にどこかに漂着したと考えられたことで、現在はえびす神と同一視されることもあります。
しかし、「玄同放言」によればヒルコ神は岸には着かず海の彼方で星の神になったという説を唱えているのです。


海の彼方、どこにたどり着くこともなく、鏡面のように静かな水面に留まり続けているヒルコの舟。
冨岡 義勇だけが使える水の呼吸・十一の型「凪」のイメージはこの風景そのものです。


この説によれば、北・水・星ヒルコ神を象徴していることになります。
義勇さんのモチーフに北と水が含まれていることは前述の通りで、さらに星が含まれていればそれはヒルコ神を意味していると考えられます。


そしてヒルコが「過狩り狩り」・「鬼殺の流」の主人公たちに見立てられているなら、モチーフを通して「鬼滅の刃」の冨岡義勇に関連づけられていると言えます。


それでは義勇さんの名前の由来になっている島 義勇が星と関係あるのかというと、関係あります。
島 義勇たち北海道開拓使の記章は「五稜星」。
北辰旗と呼ばれ、北極星をシンボルにしているのです。


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五稜旗(北辰旗)
フリー百科事典 Wikipediaより

 

発案は蛭子末次郎。名前が奇しくも蛭子ですが、彼が北極星の図案を提出したのが偶然なのか意図してのことなのかはわかりません。
北海道、特に札幌ではこの五稜星をルーツにしたマークがいろんな場所で見られます。
特に有名なのは札幌の名前を冠するビールでしょうか。全国で見られますね。


冨岡 義勇の名前には北、水、星のモチーフが織り込まれ、水の呼吸の使い手としてのイメージにぴったり合うものでありながら、前身となった二作品の主人公たちとのつながりがあり、鬼滅の刃へとしっかり受け継がれているのです。


そして北極星のモチーフは前作とのつながりだけでなく、「鬼滅の刃」での冨岡義勇のキャラクターにおいても活かされています。


古来より北極星は信仰の対象となってきました。
軍神、水神、鉱物神、時には隠れキリシタンの神としても信仰を集め、妙見菩薩として崇められる際は、真理を見抜く目を持っているといわれています。


義勇さんはカナヲのように視力がずば抜けているわけではありませんが、鬼と見れば問答無用に斬り捨てるのではなく、倒すべきかそうでないかの真理を見極める目を持っているのでしょう。


◆誕生日はなぜ2月?

誕生日について調べてみました。
2月8日は三重県名張市蛭子神社八日戎(ようかえびす)本祭の日です。
島根県コトシロヌシ系えびす神の総本宮美保神社からの分家だそうで、島根県とも縁がある神社です。
ヒルコ系えびす神の総本社は西宮神社ですし、えびす祭の多くは1月に行われています。

どうしてコトシロヌシ系の蛭子神社を選び、誕生日も1月8日や10日ではなく2月なのでしょうか?
コトシロヌシ系の蛭子神社が選ばれたのは、西宮神社では蛭児大神は還ってきたという説を支持されているため星の神様のイメージに合わなかったのかもしれません。

 

名張市蛭子神社が2月に八日戎を行うのは新暦に合わせてとのことなので、同じように義勇さんの誕生日も新暦に合わせて2月としていることも考えられます。

だとすれば、旧暦では1月8日頃となりえびす祭の時季を意味していることになります。

 

もう一つ、誕生日が2月8日であれば星座が水瓶座になります。
ここまで星にこだわってきたのですから、義勇さんに関しては星座もきっと特別こだわったと思うのです。

水柱は山羊座ではなく(たとえ下半身が魚だとしても)、水瓶座であってほしいところです。

 

また、旧暦2月8日は歌舞伎役者 三代目 澤村田之助の誕生日でもあります。

舞台での事故が元で壊死した四肢を切断しながら舞台に立ち続けた悲劇の名優と言われています。

鬼滅の刃」は歌舞伎をモチーフとしているものが随所に見られますので、吾峠先生はきっと三代目 澤村田之助のこともご存知でしょう。

2月8日の誕生日ひとつにも、いくつものこだわりがあると思います。


◆動物が嫌い

嫌いなものについて見てみます。
犬に噛まれて以来、動物全般が嫌いな義勇さんですが、無限城で炭治郎と共に最初に対峙したのは犬の名前を持つ猗窩座でした。
煉獄さんも初対面から猗窩座を嫌っていましたが、義勇さんは価値基準や鬼かどうか以前に名前から嫌いになりそうです。
義勇さん、煉獄さん、猗窩座は根本的なところが対立するように創られていると思います。


名前はさておき、義勇さんと猗窩座は似通った点が多いと思います。
元ネタの視点から見ると、2人とも佐賀県から題材が採られていますし、龍神のイメージが組み込まれています。
義勇さんの出身地 野方(現在の東京都 中野区 野方)にある沼袋氷川神社、猗窩座のモデルになったと思われる江ノ島の岩屋、どちらにも仔を抱えた珍しいデザインの狛犬がいることも共通しています。


キャラクターとして見ても、家族やそれに近い大事な人たちに少なくとも2回以上死なれている境遇も似ていますし、またその人たちの形見や思い出にまつわるものを身につけている外見的な特徴も共通しています。
大きな違いは結果的に一方は鬼狩りに、もう一方は鬼になってしまったことです。

 

無限城での猗窩座戦は、鱗滝一門の兄弟弟子の共闘、炭治郎の猗窩座との再会だけでなく龍神同士の闘い、あるいは犬嫌いと犬との闘い?までいろんな切り口で見ることができる一戦です。

物理的な戦闘と同時にそれぞれの過去の記憶や想いも入り交じりますが、それだけではなく精神、心理、性格といったような見えない内面のぶつかり合いも根底にあって、奥行きと見ごたえのある場面になっているのだと思います。

そしてそのすべての積み重ねが戦果につながっていく展開は見事というほかありません。


◆好物の鮭大根

好きな物についても調べてみました。
あまり感情の起伏を見せない義勇さんが、微笑みを見せたという鮭大根。
これは神社とその神事から発想を得ているのではないかと考えています。
福岡県・島根県・北海道の3ヶ所に、鮭神社という神社があります。
かなり珍しいと思います。
福岡県と島根県の神社には何らかの交流があり、北海道の神社は福岡県の神社から分霊されたようです。
福岡県の鮭神社では12月に献鮭祭(けんけいさい)という神事があります。
近くの遠賀川にのぼってきた鮭を鮭塚にお供えするのですが、鮭が獲れないこともあり、その際は鮭のひれのような飾り付けた大根をお供えすることになっています。
鮭と大根の組み合わせはここから考えられているのではと思います。


◆まとめとむすび

義勇さんの名前を中心に考察してみました。
寡黙なキャラクターの中にいろいろなものが秘められていると思います。
伊黒小芭内や煉獄杏寿郎のような個性的な名前を横にすると冨岡 義勇はインパクトが薄め、なんなら普通の名前じゃないかと錯覚を起こしてしまうくらい控えめの印象ですが(実際は義勇も十分個性的な名前)、水という字は使わず、九州(佐賀)に軸足を置きながら北海道のモチーフをふんだんに組み込んだ上で、水柱としての強さや美しさを表す名前として意味も申し分ないほど込められているすごい名前だと思います。


義勇さんは登場人物の無惨を倒したその後が気になっている一人です。
痣を発現させているのに、最終回で子孫がいたのは驚きました。
痣者は平均25歳が寿命だとすれば、直後に結婚できたとしても四年くらいしかないことになるけどそれで子孫を残せたのか、それとも縁壱のように意外と長生きできたのか。

幸せは長さじゃないけど、どんな人生を送ったのか知りたい気持ちはあります。

 


◆参考文献、サイト
・原作『鬼滅の刃吾峠呼世晴 著  集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
・『公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』吾峠呼世晴  著 集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
富岡八幡宮 公式サイト
・『島義勇伝』(「島義勇伝」製作委員会)エアーブック著  ダイブック出版
・All About「札幌の風水パワーの秘密!風水師が北海道の龍脈を解説」大谷修一 記
https://allabout.co.jp/gm/gc/410241/
・北海道ファンマガジン
開拓使のシンボルはなぜ五稜星になったの?知られざる北辰旗の歴史」
https://hokkaidofan.com/hokkaido-flag/
wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/
毘沙門天
「鮭神社」
富岡八幡宮

「妙見信仰」

「五稜旗」

澤村田之助(三代目)」

・日本遺産 大宰府 古代日本の「西の都」

~東アジアとの交流拠点~「観世音寺 宝蔵」

http://www.dazaifu-japan-heritage.jp/

・黄華堂
http://www.oukado.org/index.html
・カラーサイト.com
「海老色」
https://www.color-site.com/names/118
・布がたり
「変わり毘沙門亀甲」
https://www.nunogatari.co.jp/fs/kiji/200702
西宮神社 公式サイト
https://nishinomiya-ebisu.com/
・全力広報 つづきは三重で
名張市の“えべっさん”は2月8日! 鼻かけえびすと、ユニークなえびす祭り」佐野興平 記
https://www.mie30.jp/live/6038
蛭子神社 
http://www.jinja-net.jp/ebisu-jinja/annai.html
美保神社 公式サイト
http://mihojinja.or.jp/
・沼袋氷川神社
https://hikawa-n.or.jp/
・気になる話題・おすすめ情報館
https://netwadai.com/

 

 

 


 

謹賀新年 2021

少々遅くなりましたが

あけましておめでとうございます

 

年が明けて早くも三日経ちました。

今年も日々思いついたことをぼちぼち書いていきたいです。

 

2021年に望むことは…すぐには無理でしょうが、どこか旅行に行って写真を撮れたらいいなと思います。

旅行じゃなくてもいいんですが、非日常的かつ写真映えするイベントを待ち望んでいます。

(あくまで撮りたいだけであって、上手いわけではない。気持ちと技術は必ずしも比例しない。)

 

そしてやりたいと思っていて、機会があることは積極的に実行していきたいです。

いつまたできなくなるかもしれませんから。

 

そのためには健康第一。

体に気をつけて一年がんばります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よくあるかんじの年末のつぶやき2020

予想もしていなかった一年が過ぎ行こうとしています。

例年だって決して予想通りにはいかないものですが、今年は特に予想もしていなかった一年でした。

 

予定は次々に実施できなくなって、必要のないことで外出しなくなり、仕事は通勤ラッシュを避けるために勤務時間が変わり、出掛けた先では必ず消毒、真夏でもマスク着用は必須になり、外すときはそこが安全かどうかまず考えるようになりました。

例年より季節感がなくて、長期休みがずっと続いているような、どこかゆっくりした時間に時々、妙に焦った気持ちになったり逆にびっくりするほど呆けてしまったり。

世界的にみても病的なくらい衛生に気を遣う日本で感染症に怯える日が来るとは、生きているうちに戦争や天災以外で緊急事態宣言を聞くことになるとは。

緊急事態宣言下、静まり返った街の様子はきっと一生忘れることはないと思います。

本当に「よもやよもや」の毎日でした。

 

一方で、在宅の間にいつもなら出会わないような本やゲームに触れる機会がありました。

こうしてブログを書くことも今年だからこそ始められたことの一つです。

こういう状況でも何か探せばできることはあるものだと改めて思いました。(ブログ自体は何もなくてもできるけれども。)

 

新型コロナウイルス COVID-19の感染に気をつける日々は残念ながら来年もまだしばらく続きますが、生活の中で何かしら楽しみを見つけて前向きにいきたいと思います。

 

いろいろありましたが、2020年を無事過ごせたことに感謝して。

来年も何かとがんばろう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ネタバレ含む】狛治/猗窩座の考察

鬼滅の刃」のキャラクター 狛治と猗窩座(あかざ)の名前を中心に由来や元ネタを探っていく考察をしてみたいと思います。

いわゆる設定を考えるものなので、物語に浸りたい方にはあまりおもしろくないと思います。

そしてかなり長いです。(原稿用紙にして20枚分くらいの字数があります。)

おもしろいかどうかはともかく、年末年始に何でもいいから時間を潰したい方にはうってつけかもしれません。

必要ない部分のネタバレは極力避けますが、ストーリー上、触れなければならない箇所もあるので、知りたくない方はご注意願います。


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出典:『鬼滅の刃吾峠呼世晴 著 集英社出版 156話

 

◆猗窩座(あかざ)について
鬼舞辻 無惨の精鋭 十二鬼月 上弦の参。
身体中に幾何学的な入墨を持ち、見た目は若い男の鬼。
鬼舞辻無惨から特殊任務を命じられ、あるものを探している。


百年以上にわたり武術の鍛練と戦闘を積み重ね、刀を持つ鬼殺隊とも基本的には素手で闘う。
血鬼術は「破壊殺」といい、闘気を察知したり、打撃を離れた相手にぶつけたりといったことができる。

肉体的な強さにかなりの執着を見せ、強い者には鬼にならないかと誘う一方で、弱い者は真っ先に殺そうとしたりするにも関わらず、いくら強くなれると言われても女は食わない殺さないなど独特の価値観を持っている。

 

人間の頃の記憶は狛治(はくじ)という名の青年で、婚約者 恋雪(こゆき)とその父 慶蔵(けいぞう)を毒殺されている。


◆狛治と猗窩座と焼物
吾峠先生がコミックス内で述べているところによれば、猗窩座は人間の頃の思い出が鬼になっても随所に表れているキャラクターということですので、猗窩座を知るには人間の狛治だった頃のことから調べてみなくてはなりません。


狛治(はくじ)という名前はすんなり読めますが、字も読みもかなり珍しい名前だと思います。
狛治のハクは狛犬の狛であることが物語の中から読み取れますし、サブタイトルにも狛犬が使用されていることからもかなり思い入れがあるのではと考えました。
さらに読みの「はくじ」は一般的に思い浮かぶ漢字は陶磁器の「白磁」だと思います。


磁器つまり焼物といえば、山から採れる土、清らかな水と炎で作られるもの。
窯の中で燃え盛る炎は火山の溶岩を彷彿とさせます。
鬼滅の刃」において火山が鬼の象徴だとするなら、焼物がモチーフになった可能性は高そうです。


これらを併せて、知っている人は知っているであろう「白磁狛犬」がいるのでは?と思い調べてみたところ、九州は佐賀県 陶山神社(すえやまじんじゃ/通称 とうざんじんじゃ)に白磁に青い染付(そめつけ)をされた狛犬がいることがわかりました。(上絵もつけられているかもしれませんが素人が写真で確認できるのはここまでです。)


陶山神社は特に有田焼の窯元・職人、商いに携わる方々を守護してくださる神様を祀っています。
「野外美術館」と呼ばれることもあり、先の狛犬だけでなく、日本一大きな青銅の狛犬や灯籠、白磁玉垣や大水瓶に鳥居など、職人の技が随所に見られる神社だそうです。


なぜ焼物の中でも有田焼が選ばれたのでしょうか。
佐賀県の有田は日本最初の磁器を生んだ土地で、その土地周辺で作られる焼物を有田焼と呼びますが、伊万里港から出荷されていたことから伊万里焼とも呼ばれていて九州のみならず全国的にとても有名な焼物の代表と言えます。
また、陶山神社の美しい工芸品の数々が創造意欲を掻き立てたのかもしれません。


さらに白磁狛犬は名前だけでなく、狛治と猗窩座の外見にも反映されていると思われます。
父の薬代を手に入れるため、スリを繰り返していた狛治は手首に捕まった証拠である入墨を入れられています。
鬼となった猗窩座の体にある幾何学的な模様は、その記憶による影響と説明されていますが、白磁に青い染付をされた狛犬をモデルにして狛治と後の猗窩座に反映したものだと考えられます。


鬼になってからの猗窩座にはさらに有田焼の中でも高級とされた色鍋島の特徴も表れていると思います。


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色絵芙蓉菊文皿(出典:フリー百科事典 Wikipedia)


色鍋島は磁器に藍色の染付、赤、黄、緑の上絵(うわえ)が特徴ですが、それが全て猗窩座の外見に含まれています

 

白磁-白い肌
・藍色の染付-体の幾何学的な模様とその色
・黄色の上絵-眼
・赤の上絵-髪と上着、爪
・緑の上絵-帯


◆猗窩座の名前の由来
猗窩座という単語は存在しないようですので、漢字はあかざという音に対して後からあてたものでしょう。
あかざという名前は魚と植物にあって、どちらも設定に影響を与えているように思います。


まず魚のアカザはナマズアカザ科の赤い川魚からみてみます。秋田県宮城県以南の本州・四国・九州にいる日本固有種です。
食べられますが胸鰭と背鰭に有毒のトゲを持ち、うかつにさわると痛い目に遭います。
清流に生息する魚で数は減ってきており、絶滅危惧Ⅱ類に分類されています。


次に藜(あかざ)という植物ですが、ヒユ科(以前はアカザ科)の雑草です。
一年草で新芽のあたりが赤くなることから、アカザと呼ばれます。アカザの名前の方が通りが良いのですが、実はアカザは新芽のあたりが白くなるシロザという植物の変種です。


茎は硬く、杖の材料になり仙人の杖と言われることもあります。
葉は薬効があり食べられますが、継続的に多食すると、人によっては日光皮膚炎を起こすことがあるそうです。
深読みしすぎかもしれませんが、杖といえば病人を支え続けていた人間の頃の狛治の姿が重なるように思いますし、日に当たれなくなるという症状は鬼の名前にぴったりだと思います。
元は白いシロザの変種という点も、狛治/はくじ(白)から猗窩座/あかざ(赤)への変化と重なりますしよく考えられてつけられた名前なのでしょう。


次に漢字辞典ONLINE.を参考に、漢字の意味を見てみます。

・ああ。感嘆の声。
・うつくしい。
・去勢した犬。
・よる。たよる。よりかかる。
・「猗儺(あだ)」とは、なよやかなさま。たおやかなさま。



・あな。いわや。むろ。くぼみ。
・すみか。身をかくすところ。
・かくす。物をかくす。かくまう。



・すわる所。席。
・物をのせておく台。くらい。
・地位。身分。
・星の集まり。星の宿り。星座。
・すわる。腰をおろしてすわる。席につく。=坐
・仏像、建物、山などを数えることば。


漢字は既にいろいろなメディアで考察されていますが、「穴ぐらに座す去勢した犬」というような意味が成立すると思います。
狛治が狛犬を意味するとすれば、この犬は狛犬と解釈すると考えました。


洞窟に狛犬とはあまり聞いたことがないですが調べてみたところ、神奈川県 江ノ島龍神様を祀る岩屋(洞窟)がありそこに狛犬がいることがわかりました。
その岩屋は富士山につながっているといわれています。
富士山は火山ですし、洞窟は日が当たりません。
狛治は猗窩座になった時、火山につながる岩屋の狛犬に変わってしまったのです。
ここの狛犬は一方が玉を持っており、もう一方は仔に乳を与えているという珍しい姿をしています。
「去勢した犬」はこの二体を表そうとしてのことかもしれません。


猗窩座のモデルとなっているのは狛犬だけではなく、その狛犬が護る龍神とそれにまつわる伝説「江島縁起」が含まれていると思われます。


「江島縁起」のあらすじを下記に示します。


江ノ島ができる前に「五頭龍」という龍がおり、山を崩し洪水を起こし火の雨を降らせ疫病を流行らせ、人々を喰らうという悪行を重ねていた。
552年のこと、大地震に続く海底の爆発で江ノ島が誕生した。
するとそこに雲の上から天女(弁財天)が舞い降りた。
龍は美しい天女に惚れ込み結婚を申し込むが、天女はかねてからの悪行を指摘してこれを拒絶する。
諦めきれない龍は天女に改心を誓い、天女はこれを受け入れ結婚した。
以後、龍は土地を襲う災害から人々を守護する龍神となった。
年月が経ち、やがて力尽きた龍は最期を悟ると海を離れ、山となって村と天女を見守るようになった。


暴れ者の龍が天女を愛することによって鎮められ改心するという部分が、荒んでいた人生をまともにやり直そうとした狛治/猗窩座とそのきっかけとなった婚約者 恋雪の関係に重なります。


ただし写し取られているのは、心が荒んで悪行三昧だった若者が愛する女性によって救われ改心する、という流れのみでそこに至るまでの物語は伝説とはかなり違います。
狛治/猗窩座の物語は「江島縁起」からは発想を得た程度でほとんどは吾峠先生のオリジナルでしょう。
単行本に収録された設定こぼれ話も具体的ですごい量でしたので。


◆恋雪の名前の由来
狛治の婚約者だった恋雪の由来についても考察してみたいと思います。


恋雪の恋は由来が二つあるのではないかと考えています。
まず一つは先述した「江島縁起」にちなんで造られた「龍恋の鐘(りゅうれんのかね)」という場所の名前からです。
もう一つは魚のコイをかけているのではないかと思います。

鯉は日本書紀にも登場し、そもそも鯉をコイと呼ぶのは景行天皇の恋に由来しているものだと書かれています。

日本書紀によれば鯉=恋ということです。

さらに魚そのものとその料理から発想を得ているようです。
狛治のモデルになったと考えられる陶山神社がある有田は焼物が有名な一方、「食いだおれの有田」として知られる一面もあり、鯉を使った料理 鯉こく(鯉の味噌汁)や鯉のアライ(刺身)なども名物の一つなのです。


鯉は濁った水の中でも生きられますが、佐賀県の鯉料理に使われる鯉は清らかな川で育てられ臭みが全くないそうです。
そして清流に住む魚といえばアカザ。
2人には清流に住む魚の名前が共通で隠されているのです。


魚二匹が描かれる図を双魚と言いますが、古くから東西を問わず世界中でよく描かれているモチーフです。
中国では富と繁栄を表す吉祥の図、チベット仏教でも自由を意味する八大吉祥のうちの一つであり、西洋でも魚座は紐で結ばれた2匹の魚が描かれています。
日本でも縁起物として様々なものに用いられ、有田焼の絵皿にも描かれています。
特に興味深いのが東西でも二匹の魚は川を表す説があることです。
結ばれた二匹の魚は二本の分かれた川がいずれ一つの流れになることを表しており、個人的には百人一首の「瀬を早み岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ」なども想起させます。


単語の方面で見てみますと、双魚にはその言葉の語源になったと言われる楽府(漢魏の漢詩の一形式)「飲馬長城窟行」があります。
その内容は離ればなれになった夫婦がお互いを想い合う様を描いたものです。


アカザの名前を決めたとき、双魚を意識して恋雪の名前も魚に関わるものにしようと意図したくらいの可能性はあるのではないかと考えています。


次に恋雪の雪を見てみます。
佐賀県にも雪は降りますが、とはいえ雪国といわれるところほど馴染み深くはないでしょう。
調べてみたところ、この雪も料理に由来するものではないかと考えました。
佐賀県有田町には「雪の汁(つゆ)」という郷土料理があります。
粗くおろした大根に焼いたお餅を入れたお味噌汁で、窯元(かまもと/陶磁器を作る職人さんたち)が夜通し窯についていなければならない窯焚きの時に体を温める夜食として食べられてきたものだそうです。


先の通り、恋雪の恋が鯉もかけているとすれば、恋雪は鯉こくと雪の汁という味噌を使った有田の料理という共通点があり、バラバラのモチーフを繋ぎ合わせたのではなく、名物料理と郷土料理をうまく合わせて作られた名前だと言えるでしょう。


◆慶蔵の名前の由来
狛治の恩人であり、恋雪の父である慶蔵の由来についても考察してみたいと思います。
私は慶蔵の名前は有田焼の万華鏡の開発者 石川 慶蔵さんからとられているのではと考えています。(今もご健在の方です。)


私は吾峠先生の猗窩座のデザインの説明について、大きく納得する一方で少し腑に落ちない点がありました。


猗窩座(あかざ)の体の入墨を反映した幾何学模様はスリをしていた頃の、よくも悪くも実父との思い出に関わるもので、雪と花火が恋雪との思い出に関わるものなら、慶蔵との思い出に関わるものが武術だけ、もっというならそれ以外ないというのが引っ掛かりました。
猗窩座の武術の根底には、慶蔵から教えてもらったものがありとても大きな存在だとしても、その後100年の鍛練はおそらく独りでやっていたわけで、そうなると慶蔵の影響が少なすぎはしないか?と。
物語の中だけで見ても、慶蔵は父を亡くして荒んでいた狛治の心を救ってくれたかけがえのない恩人で、武術以外にも得たつながりがたくさんあるだろうに、それを表す特徴的な何かが見当たりません。


さらに恋雪の名前の雪にかかっているにしても、髪飾り=恋雪は少々印象が弱いと感じます。(極めて個人的な印象ですが。)
恋雪は初めて狛治と逢った頃は、病床にいたこともあり、髪飾りを付けていませんでした。つまり、いつもつけていたわけではありませんしそれに関わる印象的なエピソードもありませんでした。
髪飾りは必ずしも恋雪を象徴しているとは言い難いように思うのです。
しかし雪の結晶は術式を展開した時に毎回登場するものです。
ならば、雪には髪飾り以上に深い思い入れがあるのではないでしょうか。


そこで、雪(と花火)はそもそも別の何かを表現したものだったのではと考えました。


花火や雪の結晶のようなキラキラしてパッと開くような、かつ儚くて美しいもの。
そこで浮かんだのが万華鏡です。

 

狛治/猗窩座は有田焼をモチーフにしていることを前提に、有田焼の万華鏡があるのではと調べてみたところ、近年開発され2004年に発売されていることがわかりました。

 


吾峠先生は破壊殺の陣形を描く時、恋雪とこっそり慶蔵も思いながら描いているのかもしれません。

ではなぜ作品内で万華鏡がそのまま描かれなかったのかというと、吾峠先生はモチーフを直接的に描くことをあまりしないことと、もう一つは時代設定に合わないからではないかと思います。


藤襲山で炭治郎と手鬼が話していた内容から物語における現在が1914年~1915年くらいだと推定した上で、上弦の鬼は百年以上顔ぶれが変わらないという情報を併せて考えるに、猗窩座が鬼になったのはどんなに遅くても1815年頃。
万華鏡の日本伝来は1819年ですので、猗窩座が狛治であった頃、万華鏡はまだ日本に伝わっていないと考えられます。
ゆえに、そのまま使えなかったのではないでしょうか。


◆破壊殺
猗窩座の血鬼術「破壊殺」も少し調べてみました。
風水にある方位を表す言葉で、その方向に行くと「不測の事態などで予定が全て壊れる。」のだそうです。ことごとくを失いますが命までとられるわけではないそうです。
命までとられることがないことが幸せといえるのか、命以外の全てを失ってしまってもそこに生きる希望を見出だせるのかはその人次第じゃないかということが物語の中で絶妙に描かれていると思います。
闘気を察知してその方向にあるものを徹底的に破壊する技を表現した言葉であると同時に、不運な巡り合わせで大事な人たちに先立たれ、決まっていた幸せな予定を全て失ってしまった狛治の人生そのものを表す言葉だと思います。


◆素流
素流の武術ですが、私にその分野における知見がないのではっきりしたことはわかりませんが、調べてみたところネットでは空手道、少林寺拳法躰道柔術などが挙がっていました。
個人的には少林寺拳法あたりがモデルではないかと推測はしていますが、はっきりとした根拠はありません。
狛治と猗窩座の服装が拳法の胴着と似ていることと、少林寺拳法は日本で創始した新興武道であり九州支部は福岡県が最初であること、心荒んだ日本社会を武道を学ぶことで豊かにしたいという理念から始まっていること、力なき愛は無力  愛なき力は暴力であるとする「力愛不二」の教えも狛治/猗窩座の心情と重なる部分があるように思いますが、これだと断定するには決め手に欠けているように思います。
モデルはあったにしてもいろんなものを採り入れてオリジナルなものになっている可能性もありますし、少年漫画らしく純粋にアクションとして楽しみたいと思います。


◆(番外)素山
キメツ学園での狛治の名字  素山(そやま)についても考えてみました。
狛治のモチーフに使われたと思われる佐賀県有田町の陶山神社ですが、実は同じ漢字を使った神社がもう一社あります。
岡山県有田町の陶山神社(すやまじんじゃ)です。
こちらはスエヤマではなくスヤマと読むそうです。
陶山→素山(すやま)と書いて→ソヤマと読ませているのではないかと思います。
素は素流の素でもありますし、岡山と言えば酒呑童子が有名な土地でもあります。
有田焼と同じく有名な備前焼もあり、備前茶陶 緋襷の巨匠・金重 素山(かねしげ そざん)さんという方がいらっしゃって、字が一致します。


◆まとめとむすび
狛治/猗窩座の名前を中心に考察してみました。
敵ではありますが容姿から並々ならぬこだわりをもってとてもよく練られたキャラクターだと思います。

細かい設定を抜きにしたとしても、圧倒的な強さ、純粋さ、過去の悲劇性に支持や共感を持つ方は少なくないでしょうし、その反面、炎柱 煉獄杏寿郎を殺した敵として嫌う方もいるかもしれませんが、賛否あるところが人物像の深みであり人気の理由なのではないでしょうか。

これだけ作り込まれているのですから、ひょっとしたら最初は鬼殺隊のメンバーにしようと考えられていたのかも?と思ってしまうほどです。
たとえば、もし恋雪と慶蔵を殺したのが鬼だったら、狛治は鬼殺隊に入っていたかもしれない、そんな可能性もあったかもしれないと思うのです。(それも不幸な話ではあるけど、素流と日輪刀を駆使する鬼殺隊士を妄想すると、それならそれでちょっと見てみたい気持ちはある…。)


優しい家族や大切な人に恵まれて自身も心優しい性格であったのに、ちょっとした選択と行き違いから何もかも失い、鬼に堕ちてしまう狛治の人生は、不運というほか言い様のない悲しいものです。
スリをしていたのも人を殺したのも鬼になったのも自分の欲望を満たすためではなく、鬼になった時は選択の余地すらありませんでした。
ただただ巡り合わせが悪いだけなのに、他の何よりも自分の無力さを責める姿に涙した方も多いのではないでしょうか。


鬼滅の刃」は鬼への扱いは厳しくて、消滅した後は文字通り消滅と言いますか、一切登場しませんので、地獄へ落ちた後どうなってしまうのかわかりません。
最終回でも転生した鬼はいなかったので人でなくなった者は輪廻転生の輪から外れてしまうのか、人を食い殺してしまった罪を償うのは永い永い時を要することなのか。
消滅した者は天国には行けなくても分かれた川の流れがいつかまた一つになるように、何らかの形で大切な人たちと再び巡り合う未来が鬼にもあればいいなと思います。

 


◆参考文献、サイト
・原作『鬼滅の刃吾峠呼世晴 著  集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
・『公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』吾峠呼世晴  著 集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
ピクシブ百科事典
「猗窩座」

https://dic.pixiv.net/

Wikipedia

「鍋島焼」

https://ja.m.wikipedia.org/

・陶山神社公式ホームページ
http://arita-toso.net/sp/
伊万里焼キッズサイト
http://www.school-imari.ed.jp/jouhou/kidssite/index.html
・全国観るナビ「有田碗灯(アリタワントウ)」
https://www.nihon-kankou.or.jp/
・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック
https://www.njh.co.jp/compete/top25/
・Web版 狛犬の社
http://www15.plala.or.jp/timebox/top/05komamori/01-komamori.html#oikawa
藤沢市観光公式ホームページ
江ノ島岩屋」
https://www.fujisawa-kanko.jp/spot/enoshima/17.html
・TABIPPO
江ノ島の岩屋洞窟を満喫したい!龍神伝説が残るパワースポット」阿部サキソフォン 記
https://tabippo.net/iwaya-doukutsu/
・LINEトラベル.jp
「江の島の岩屋、弁財天と龍~『江島縁起』に秘められていること」桜 小町 記
https://www.travel.co.jp/guide/article/5210/
江島神社「マンガでみる江島縁起」
http://enoshimajinja.or.jp/manga01/
・氣彩塾
「破壊殺」
https://kaiun-astrea.com/good-column/kaiun-column/hakaisatu/
・うららかな菱曜日。
青森県刺し子南部菱刺し魚模様のピンクッション。鱗紋、縞、観世水」
https://uraraka-hishiyoubi.com/hishizashi-fish-pincushion/
・『魚の文化史』矢野憲一 著 講談社学術文庫
・暮らし~の
「毒には注意な「アカザ」とは?その毒性や生態、食べ方までご紹介!」
https://kurashi-no.jp/I0019302
・素人植物図鑑
「アカザ」
http://www.jplants.sakura.ne.jp/akaza.html
・BOTANICA
「「シロザ」とはどんな植物?アカザとの違いや見分け方は?食べられる?」仲山陽奈 記
https://botanica-media.jp/973?p=2
・漢字辞典ONLINE.
「猗」「窩」「座」
https://kanji.jitenon.jp/
・鬼滅の泉
「【鬼滅の刃】時代設定は大正何年?」
https://kimetsu-i.com/jidaisettei-taisyou-
nannnenn/
・我が心の小宇宙~万華鏡
http://www.mirai.ne.jp/~espac/kareido/history.htm
少林寺拳法公式サイト
https://www.shorinjikempo.or.jp/
・神ナビ
「陶山神社」(すやまじんじゃ)
http://www.spicy.sakura.ne.jp/jinja/index.htm


 

最終巻を読みました。という話

鬼滅の刃 23 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ついに「鬼滅の刃」最終巻が発売になりました。

新聞や複数ページにわたる広告にも驚きましたし(新聞読んでたらいきなり大きな絵が目に飛び込んできて、そりゃもうびっくりですよ…(笑))、報道に違わず店頭での売行きは上々のようで、通りかかった書店でも「限定版完売」の告知や、単行本を手に取るお客さんを見かけました。

私は電子書籍で4日0:00過ぎから読み始めました。

ジャンプ本誌掲載時には少し駈け足気味に感じていた最終回がちょうど良いテンポになっていたように思いました。

本誌ではページが足りなかったんですね。

ストーリーにはあまり影響はありませんが、追加された部分はメッセージが溢れていて素晴らしかったです。

もし本誌で読んだからもういいやと思っている方がいたら、何らかの方法で読んでみてほしいと思います。

あと、補足情報に驚いたりしました。

ネタバレは避けますが、えっ?あの人たちが本当に?といったところで、疑問は深まるばかりです。

来年出るという公式ファンブックで、もう少しそのへん掘り下げてもらえないかな、と期待。

 

ネットの片隅からではありますが、この作品に出逢えたこと、作品を生み出し世に送り出してくださった吾峠呼世晴先生に改めて心からの感謝を。

 

ありがとうございます

 

●追記

鬼滅の刃 外伝 (ジャンプコミックスDIGITAL)

こちらも前から気になっていたのですが、連載中には読んでなくて、最終巻と一緒に買って読みました。

表紙の炎と水の組み合わせが、とても鬼滅の刃らしいと感じています。

義勇さん、煉獄さん、胡蝶さんや甘露寺さんの活躍をまだまだ見たかった!通常任務はどんなものか見てみたい!という人はきっと楽しめると思いますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ネタバレ含む】胡蝶カナエ・しのぶの考察

今回は胡蝶カナエ・しのぶ姉妹の名前やモデルになった神様や人物について考察してみようと思います。

今回は原作を既読の方に対しては大したネタバレは含んでいないと思いますが、うっかり事故ることもあり得るのでネタバレ含むとしています。

知りたくない方はご注意ください。

鬼滅の刃 6 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

◆まず二人のプロフィールから見ていきます。


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出典:『鬼滅の刃吾峠呼世晴集英社出版 コミックス7巻

胡蝶カナエ

東京府 北豊島郡 滝野川村(現:北区 滝野川)出身。
しのぶの姉。
生前は花の呼吸の使い手で花柱。


両親を鬼に殺された自分たちと同じ思いを人にさせたくないと鬼を狩る一方で、鬼も救いたいという慈愛の心の持ち主だった。

上弦の弐 童磨と戦い死亡。享年17歳。

 


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出典:『鬼滅の刃吾峠呼世晴集英社出版 コミックス6巻

胡蝶しのぶ

胡蝶カナエの妹。
蟲の呼吸の使い手、蟲柱。
姉と同様に医学の心得があり、鬼殺隊の医療班的な役割を担うこともある。
両親が薬の調合に携わっていたため薬に詳しく毒にも精通している。


姉より小柄で鬼の首を切る力はないが、藤の花から作られた毒を仕込んだ刀を使って鬼を滅する。速度ある突き技が得意。


「鬼と仲良くすればいいのに」と口では言うが、人を喰うため浅ましい真似を平気でする鬼どもは全滅させてやるが本音。


善逸いわく「顔だけで飯食っていけそう」なほど可愛い。


上弦の弐 童磨に吸収されて死亡するも、全身に毒を巡らせており、体内から大ダメージを与える。
また珠世と共同研究して作り上げた対無惨の毒は、戦う仲間の大きな助けになった。
享年18歳。


◆胡蝶三姉妹と宗像三女神

他のキャラクター同様、神様がモデルに組み込まれていると考えられ、胡蝶三姉妹は宗像(むなかた)三女神がモデルに組み込まれいると考えられます。


三女神はアマテラスが生み出した美しい三姉妹の海神で、海だけでなく海を行く人々の行く先を照らす「道の神様」でもあり、福岡県の宗像大社(むなかた たいしゃ)に祀られています。

水の神様でありながら日の神から生まれた、その両方の特性を持っている神様と言えるでしょう。

宗像大社沖津宮(おきつぐう)、中津宮(なかつぐう)、辺津宮(へつぐう)と三つの宮にそれぞれの女神を祀っています。

誰が姉で妹かは説がいくつかあるようですが、日本書紀 本文の記載に依れば沖津宮のタゴリヒメが長女ですので、カナエさんが沖津宮に祀られるタゴリヒメにあたると考えられます。
名前には霧立ち込めるの意味があるそうで、
独身の女神であり宮は女人禁制とのこと。
沖津宮は一番沖にあり、行く先を示す神様です。
強敵に立ち向かう妹たちを、死んでもなお、時に叱咤し励まし、優しく導いてくれるお姉さんです。


続く次女のしのぶさんは中津宮タギツヒメにあたるでしょう。
タギツとは波立つの意味だそうです。
姉の遺志を継ぎ、穏やかそうに振る舞っていたしのぶさんですが本来は活動的な人だったようですし、心中はざわめくものを抱えている様子でした。


中津宮の島には七夕伝説があり、織姫彦星に相当する織女社と牽牛社、天の川に見立てた小川があります。
宗像大社によりますと、七夕伝説発祥の地だそうです。


伝説は以下のような話です。

 

唐に渡った貴公子が織女を伴って帰国後、二人は離ればなれとなり、日々織女に想いを寄せていたら、ある夜の夢枕で、天の川にタライを浮かべると水鏡に織女が映るとのお告げがあり、それから貴公子は神仕えをしたと伝えられています。(宗像大社 公式サイトより)


明確に死んだとは書かれていませんが、水鏡でしか逢えないというのは死に別れたと解釈できるかと思います。(ずっと遠くから覗き見てるとは思いたくない…。)

 

カナエさんもしのぶさんも愛する人たちと長く共にいられない過酷な人生を運命づけられているように思われます。


◆胡蝶カナエの名前の由来

まず胡蝶しのぶの姉である以上、名字はもちろん胡蝶です。

胡蝶は蝶々のことですが、花の名前にもよく使われています。
下の名前のカナエは洋蘭 カトレアの一種、カナエに由来しているのではないかと思います。
「洋蘭」とはもちろん西洋蘭のことですが、「洋」は海を意味しますし、「蘭」は花です。字をそのまま読めば、海と花を両方意味していることになります。
また蘭の仲間には胡蝶蘭があります。カナエをただ蘭と解釈するならば「胡蝶蘭」と読むことができ、花の名前になるのです。
落ち着きがありながら優美で華やか、カナエさんのイメージにも合うかと思います。


とはいえ、先述のとおり胡蝶とつく花は蘭以外にもたくさんあります。
なぜ蘭が選ばれたのでしょうか?


私は姉妹のモデルに「高場 乱(たかば おさむ)」が含まれているからではと考えています。
高場 乱は福岡の三女傑と呼ばれた人物の一人で、福岡藩に仕える名門の眼科医の子として生まれ、女でありながら男として育てられました。虚弱で華奢な身にも関わらず、医療を提供する傍らで薬用人参畑の跡地に塾を開いて教育にも力をそそぎ、多くの弟子を育てたそうです。
「眼」「医療」「薬」「教育」「女傑」「華奢」など、胡蝶姉妹を彷彿とさせるキーワードがいくつも含まれています。
カナエさんの名前は「乱(おさむ)」を「ラン」と読み変え、「蘭」に変換して発想を得ているのかもしれません。


また「カナエ」には「鼎(かなえ)」の意味も含まれているのではと考えています。
鼎とは中国で儀式に使われていたという「三つ脚」の器ですが、数字の3そのものを意味することもあります。
日本では三つ脚の花器を鼎と呼びます。

三姉妹をまとめる花の器。すなわち、カナエさんです。

 

胡蝶姉妹が三人姉妹になったのは物語上ではあくまで偶然と成り行きによってのことであり、物語時点では一人亡くなっているものの、胡蝶姉妹は三人だということが強く意識されていることが読み取れるかと思います。

 

◆胡蝶しのぶの名前の由来

名字の胡蝶は蝶々の意味ですが、石見神楽で侍女に化けた土蜘蛛が名乗った「胡蝶」から由来していると思われます。

この胡蝶は頼光を油断させて毒を盛るという役どころです。虫だけではなく、毒のことも意味しているんですね。


下の名前「しのぶ」にはおそらく由来が3つあります。
まず、シダ植物にシノブという植物があります。胞子で増えるので花は咲きません。
カナエさんやカナヲと関係ある植物の名前でもありながら花の呼吸の使い手ではないので花の名前は使われていないのでしょう。


2つ目は水の神と崇められた山であり大蛇とオオムカデが戦ったという信夫(しのぶ)山です。


3つ目は白石噺(しろいしばなし)という実話を元にした復讐劇の登場人物です。
理不尽に父親を殺された姉妹が仇討ちをする物語で、姉が宮城野(みやぎの)・妹が信夫(しのぶ)です。
白石噺は歌舞伎や浄瑠璃などで昔人気があったので各地に似た話が残っているのですが、おそらく宮城県白石市に伝わるものからとられたのでしょう。


白石噺の信夫は薙刀を得物としていたので、胡蝶しのぶも突き技を得意とするキャラクターになったと思われます。


ただ設定をそのまま写しとるのではなく、突き技が得意な反面、斬撃する力がなく突き技しかできないことが彼女のコンプレックスにもなっているというところが鬼滅の刃作品のオリジナリティーであり人物の深み、おもしろさだと思います。


宮城県白石市は若林公園という藤が有名な公園があり、名産品には蛇蜻蛉(へびとんぼ)で作られる薬があります。しのぶさんのイメージにぴったりという感じです。


胡蝶姉妹の名付けのすごいところは、一方では毒や蟲に関係する名前になっているし、もう一方ではちゃんと花を意味する名前にもなっているところだと思います。
しかもどちらも一見しただけではそのこだわりがわからないようになっていることも驚きです。


◆虫柱ではなく蟲柱

しのぶさんの蟲柱の名前についても少し考えてみたいと思います。

そもそもトドメを刺すのは毒なのに毒柱ではないし、胡蝶という名前だけど虫柱とは書かず、蟲柱。


「虫」と「蟲」の字に違いですが、蟲と書いた場合、いわゆる六本足の昆虫だけでなく蛇や百足(ムカデ)の類いも含んでいます。

しのぶさんの技には「百足蛇腹」という技もあり、六本足の昆虫以外も含まれていることがわかります。


特に百足(ムカデ)はどちらかというと、あの外見からして退治される方ではないか?と思うのですが、百足といえば神の使いとされることもあり、蛇と争うほどの力を持っているとも言われます。
昔話の中には鬼退治のお供に加わっている話もいくつかあるので、鬼退治側にいたとしても不思議ではない、ということでしょうか。


さらに言い伝えによりますと、百足の弱点は水だそうです。

 

◆2人の出身地  滝野川

名前とは関係ありませんが、出身地とされている滝野川村、現在の北区滝野川にある滝野川八幡神社は、御朱印帳の図柄が勝ち虫といわれる蜻蛉(とんぼ)と海を合わせたものです。
海と虫という図柄はかなり珍しい印象を受けます。
蟲柱と海神である宗像三女神の取り合わせのようでここを出身地に設定した吾峠先生のこだわりを感じます。


胡蝶姉妹は虫に例えるなら蜻蛉だったのかもしれません。
蜻蛉が勝ち虫と呼ばれるのは、前進しかしないことからですが、諦めや退くこと選ばない姉妹の生き様が重なります。

 


◆まとめ

今回は胡蝶姉妹の名前の由来やモデルについてを考察してみました。


煉獄さんの死も衝撃でしたが、鬼に吸収されてしまったしのぶさんの死はそれ以上に衝撃でした。衝撃というか状況を飲み込めてない感じでした。
アニメでも馴染みがありましたし、人気もありそうなので実は死んでないんじゃないかと思いたかったのですが、そんな甘いことはないのが鬼滅の刃ですね。

 

しのぶさんは仇を討つ信念こそ変わらなかったけど、鬼や鬼殺に対する考えは徐々に変わっていったのではないかと思います。

生前、珠世さんを「人」と呼んだことにそれが端的に表れているんじゃないでしょうか。

カナエさんみたいにはなれなくても、自分で全て成し遂げられなくても、誰かが引き継いでくれると信じることで心に穏やかさを取り戻したようでした。

 

最終回では来世の2人の姿が少し描かれていましたが、今度こそ鬼のいない世界で幸せに生きていってくれたらいいなと思います。

 


◆参考文献、サイト
・原作『鬼滅の刃吾峠呼世晴集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
・『公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』吾峠呼世晴集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
・『鬼滅の刃 しあわせの花』吾峠呼世晴・矢島綾 著 集英社出版
・石見神楽公式サイトhttp://iwamikagura.jp/
宗像大社公式サイトhttp://munakata-taisha.or.jp/
滝野川八幡神社公式サイト
http://www.takinogawahachiman.com/index.htm
wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/
宗像三女神
「高場 乱」
白石市
・『福岡県謎解き散歩』半田隆夫・堂前亮平著 新人物文庫
・みんなの趣味の園芸https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=745053
・「百姓の美人姉妹が武士を討った!福島県に伝わる、幼き少女たちの勇ましい仇討ち」馬場紀衣 記https://intojapanwaraku.com/culture/86091/

 

 


 

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