【ネタバレ含む】栗花落カナヲの考察
続いて、栗花落カナヲについての考察をしてみたいと思います。
無限城から無残戦までのネタバレを含みますので、NGの方はご注意願います。
カナヲの名前の由来、「笑顔になる」説とは違う説を提示したいと考えています。
◆まずはプロフィールから
栗花落 カナヲ(つゆり かなを)
5月19日生まれ。(正確には胡蝶姉妹と出会った日で誕生日は不明)。
炭治郎たちの同期で、卓越した動体視力を持つ。
花の呼吸を見様見真似で習得する才能の持ち主。
幼少の頃貧困家庭で虐待を受けて育ち、人買いに売られたところを胡蝶カナエ•しのぶ姉妹に保護された。以後、彼女たちの妹として育つ。
虐待から生き延びるため固く心を閉ざしてしまい、自分の意思を表現することが苦手。
炭治郎に励まされるまで、コイントスで物事を決めていた。
無限城での戦いで目を犠牲にして終(つい)の型「彼岸朱眼」を使う。
◆胡蝶三姉妹について少し
タギリヒメの中津宮がある島には男性と寄り添うも別れてしまうという(織姫的な女性が死ぬと思われる)七夕伝説があります。牽牛社と織女社、天の川に見立てた小川があります。
イチキシマヒメだけが結婚している、または独身という説がありません。
つまり、カナヲの設定には弁才天も含まれていると考えられます。
◆名字の栗花落について
吾峠先生の名付けの特徴がよく出ていると思います。
花の呼吸の使い手なので、花の字を入れているのでしょうが、通常の花という字の読みではありません。普通の人はこれをつゆりとは読めません。
栗花落姓の始まりには言い伝えがあります。
丹羽 基二氏 著『苗字の謎が面白いほどわかる本』を参考に簡潔に内容を示しますと、その昔、白滝姫という人が息子を生んで亡くなり、葬られた場所から陰暦五月の梅雨時、水が湧き出たそうです。帝は彼女を弁天として祀り、息子は栗花落姓を賜ったのがその始まりだということです。
◆弁才天の目
弁才天をキーワードに読み取れることがもう一つあります。
カナヲの視力が優れている理由について調べてみたのですが、イチキシマヒメにも弁才天にも、名前に関わると思われる神社からも目に特別なご利益があるとか、何かの目から生まれたというようなものは見当たりませんでした。
ですが視力が優れていることより、片目が失われることがすでに決まっていたと考えられるものを見つけました。
今後、戦いで失われたカナヲの片目が回復する可能性は、残念ですが低そうです。
◆カナヲについて
続いて下の名前 カナヲについて見ていきます。
ネットの考察でたまに見るのが、姉カナエのエがヲになる→「笑顔になる」と名付けられたという説です。
カナエさんがあのふわっとした笑顔でこれを言わないとは言いきれませんが、私はこの説に納得していません。
カナエさんから名前をとっているのだとしたらしのぶさんの名前に関連が一切なさそうなのも気になります。
もし作品内でカナヲの名前の由来を語ることがあるなら、カナエのカナとしのぶ(信夫)の夫でカナヲとしたのが妥当な線ではないかと思っています。でもしのぶさんの名前は平仮名表記なので、名前の由来は作中では披露されないだろうと思っています。
私はカナヲの名前は山梨県の「金櫻(かなざくら)神社」からとられているのではないかと考えました。金櫻でカナヲです。
名前を漢字のままにしておくとあからさますぎるので、片仮名でカナオ。少し字面が男っぽいので古風で女性らしくカナヲとしたのではないかと思います。
ではなぜ金櫻神社なのかを説明します。
その理由ですが、金櫻神社は日本三御嶽の一つで雪月花のうち花にたとえられます。
つまり、カナヲ(金櫻)という名前は花というあからさまな字を入れなくても、その名前自体が花を意味しているのです。
また金櫻神社は炭治郎とつながりのあるスサノオを祀っている神社です。
火の玉・水の玉と呼ばれる水晶を社宝にしており、火と水を描くこの物語にも沿います。
◆炭カナについて少し
いわゆる炭治郎とカナヲのカップリングについて、設定から読み取れる部分を少し見てみたいと思います。
単行本三巻末のおまけページにて、かつて炭治郎が下の兄弟に女性の好みを聞かれて答えるというエピソードが描かれていました。
そのときの答えはタイプの女性は「鈴蘭のような柴犬」。
わかりやすくするためかえって意味がわからなくなってしまったという話ですが、どんな女性なら当てはまるんでしょうか。
ちなみにカナヲの誕生月の花は鈴蘭です。
そして、先述した金櫻神社の眷属は白犬・白狼なのです。
鈴蘭と白い犬の要素を持つカナヲなら対象になるかもしれません。
何かしらイベントがあるといいなというより、あるに違いないくらいに思っています。
無惨戦の後、二人の距離は縮まると思うので、物語の楽しみの一つです。
◆まとめ
まとめるとポイントは下記のようになります。
•カナヲの設定に使われている神様はイチキシマヒメと弁財天。
•弁財天の中でも墨田区の一ツ目弁財天が意識されている。
•カナヲの名前は金櫻神社のカナヲと読ませたもの。
•金櫻神社は花を意味し、眷属は白い犬と狼。
美人で強くて性格的に不器用なところも魅力的な栗花落カナヲについて考察してみました。
表情の変化が乏しいので思考や感情が伝わりづらいことがありますが、それも炭治郎たちとの交流で徐々に変わっていっているのがわかります。
無限城から続く無惨戦は大活躍でしたが、メインキャラクターの中でも登場が後の方で炭治郎たちとあまり行動を共にしないこともあり、出番もどちらかというと少なめだったのが少し残念です。
いつか、一緒に任務をこなす話とかが番外編でもいいから見られたらいいなと思います。
◆参考文献、サイト
・pixiv百科事典 https://dic.pixiv.net/
「栗花落カナヲ」
・『苗字の謎が面白いほどわかる本』丹羽基二 著 (中経の文庫)KADOKAWA出版
・一ツ目弁天 江島杉山神社公式サイトhttp://ejimasugiyama.tokyo/
・金櫻神社公式サイトhttp://m.kanazakura-shrin.webnode.jp/
「宗像三女神」
「弁財天(弁才天)」
「金桜神社」
「花月」
・来福@参道
「狼神話」
・神ズム
「七夕発祥の地!?大社の七夕祭り」https://kamism.jp/post-1427/