梅下のとはずがたり

思いつきを長々と語るブログ

映画を観に行った話

記憶に残るほど特異でありながら、きっと多くの人が経験したであろう月並みなお話。

 

鬼滅の刃 無限列車編」を観に行ってきました

たぶん、土日はとてもとても混むと思ったので、初日の金曜に滑り込んで可能な限り素早く退散することにしました。

グッズはこの時間帯ではきっと無理なので諦め、でもできたらパンフレットくらいは買えたら良いなという心づもり。

普段あまり混んでない映画館に行ったのですが、久々に大混雑というものを見ました。この映画館が始まって以来の混雑といっても過言ではありません。

その映画館では行列を整理するための人員を割いておらず、お客さんがどこにどうならんでいるかもわからない状態でした。

行列をめぐって揉め事が起こらないか心配になってしまうほどです。

私はたぶんここが最後尾かなと思うところに並んでいたのですが、折り返し地点でうっかりよそ見をしてしまい、前にいた人がどこに曲がったかわからなくなる始末。

だんだんメビウスの環みたいに見えてきます。

無限列車編とは…お客さんが無限に続く列車のように列をなすイベントなのだろうか。

(断じて違う。)

その後、さらにきょろきょろしているうちに別の行列の流れに巻き込まれ、そのままチケットもぎりの入り口まで、流されてしまいました。

そして何だかよくわからないうちに開始5分前に劇場に入れました。

こんなことは、いまだかつてなかったことです。

お客さんが多いこともあるでしょうが、上映回数が多い上に各回の合間に消毒や換気などもあるでしょうから時間も労力もかかりますし、もぎりはいまだに人力で多くても2人、来場特典が手渡しでは劇場の数や客席数に関わらず、さばくスピードに限界がありどうにもならないのでしょう。

スタッフの方々の大変さは想像を超えます。

 

■映画を観て

原作を読んでいて話はわかっているのに、迫力ある美しい映像、声優さんたちの熱演には心揺さぶられました。

特に煉獄杏寿郎役 日野聡さん、竈門炭治郎役  花江夏樹さん、嘴平伊之助役 松岡禎丞さんは今回かなり叫ぶ台詞も多くて熱演が光っていました。

その熱さに厭夢役 平川大輔さんや猗窩座役 石田彰さんの冷ややかな鬼の演技が掛け合うように入ってくる。

鬼滅の刃の登場人物は一人一人こだわりをもって丁寧に作り込まれていますが、その魅力と熱さを体現してくれるのが声優さんのすごいところです。

個人的にアニメ化されて良かったなと思うことの一つは、漫画のコマとコマの間、コミックの間にちょっと描かれたカットされたネタが繋がっていることです。

無限列車編は汽車が夜の草原を走っていく姿が大画面にとても映えますし、物語の時間的にも一晩の話ですから、一気に大画面で観られる映画での表現は大正解だと思います。

アニメの作り方はよくわかっていない部分が多いですが、時間をかけたものは動きを丁寧に描けるのか「空中を跳んでくるっと身体をひねって斬りかかる」みたいな戦闘シーンはテレビではあまり観られないアングルで描かれていて、見応えがありました。

技のエフェクトも迫力があって良かったです。

 

■来場特典を見てみる

目玉は煉獄さんの初任務のお話。

映画観た後に読むとさらに煉獄さんの人柄の良さが偲ばれます。

大正コソコソ噂話や立志編のまとめ、アニメ監督の外崎春雄さんとキャラクターデザインの松島晃さんの対談、声優さんのインタビューなどなど。

私はスタッフが見るアニメの鬼滅の刃やキャラクターやこだわりってどうなの?という興味があるので対談はおもしろかったです。

それからあまり創作について語らない吾峠先生のキャラ作りについてのコメントが見られました。「鬼滅の刃」のキャラクターにはほとんど実在のモデルがいて、だいたいは作者個人の知り合いで一般人だそうです

ん、つまり、私の考察はあまり意味ないってことか。

!!!

まあそれはそれとして、思い付いたものは気長に書き残していこうと思います。

 

 

 

 

 

【ネタバレ含む】珠世様と愈史郎と茶々丸の考察

 

鬼滅の刃 21 (ジャンプコミックスDIGITAL)

鬼滅の刃 21 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

満を持して21巻の表紙に2人が登場です。

カバー下のイラストも切ないですがとても素敵でした。

珠世様と愈史郎、そして茶々丸
鬼でありながら鬼殺隊と共に無惨討伐戦に参加。大活躍していますが、珠世様と愈史郎は読みきり作品でも登場しており、きっと吾峠先生の思い入れも強いのだろうと想像しています。
そんな二人と一匹の設定を読み解いていきたいと思います。

 

なぜ一緒って、バラバラでやったら山奥に住んでいるある有名画家にライフルで撃たれそうな気がする。

 

しれっと最終回のネタバレが含まれますので、コミックで読むまで知りたくない方は以下を読まないようご注意願います。


◆珠世様について
四百年以上生きている鬼。

病に侵されるも子どもの成長を見届けたいがため鬼になるも、食人衝動で夫と子どもを食い殺してしまう。
その後も無惨の呪いにより、意思に反して逆らうことができず付き従わされていた。
継國 縁壱によって無惨が致命傷を負った際に一時的に呪いが外れ、逃亡。
その後、自身で体を弄り食人衝動を抑えることに成功、無惨の呪いを完全に外すことに成功する。
さらに無惨以外で人を鬼にすることにも成功。
鬼にした愈史郎と行動を共にしている。

鬼なので飲食はしないが、紅茶が好きで紅茶だけは飲めるよう体をいじっている。


◆愈史郎について
見かけは少年に近い青年だが、実年齢は35歳。珠世を珠世様と呼び、敬愛と崇拝の念を捧げており、分単位の日記をつけている。
実年齢35歳のわりには大人げないことも多々あり。
珠世様に鬼にしてもらった彼は、茶々丸を鬼にしている。

無惨戦の後は姿を消し、令和の世では山本と名乗る画家として珠世様の絵を描きながら生きている様子。


◆珠世様のモデル~三人の紅葉~
私は石見神楽「大江山」と「紅葉狩」に登場する紅葉姫、それとは別に和泉式部がモデルだと考えています。

まず紅葉姫について述べたいと思います。

名前は同じですがそのキャラクターは異なります。
大江山」では鬼に連れさらわれていて、頼光一行を助ける人間の紅葉姫。
「紅葉狩」では道に迷った侍たちを喰おうとする鬼が紅葉姫です。
後者の「紅葉狩」に登場する紅葉姫は「紅葉伝説(もみじでんせつ)」をベースにしています。
これは長野県 戸隠鬼無里(きなさ・現 長野県長野市)、別所温泉などに伝わる鬼女にまつわる伝説で、平維茂(たいらのこれもち)が鬼女・紅葉を討つというものです。
しかし鬼伝説がある一方で、紅葉姫は実在した人物と言われ、お墓もあります。鬼無里では「里にあって女性でありながら医学・文学などに通じ、人々を教え導いた素晴らしい(鬼女ではなく)貴女であった」と伝えられているそうです。
「鬼に無理矢理従わされていた女性」と「鬼であり医者の顔を持つ美貌の女性」。
珠世様のイメージそのものです。


◆珠世様の名前は?

珠世様には和泉式部をモデルにしたと思われる設定も見られます。

それは名前から読み取れることで、珠世様の名前は、和泉式部の伝説の一つ、和泉式部が「和泉式部」を名乗る前の名前が「玉世姫」であったと言われている伝承に由来していると思われます。

 

和泉式部といえば、大江山鬼退治の一行 藤原 保昌の妻。
和歌の名手で絶世の美女。とにかく男性にモテる華やかなイメージがある一方で、夫や娘に先立たれ、孤独が影を落とす、そんな女性です。

鬼退治伝説に和泉式部は登場しませんが、夫が鬼退治に関わっていたのですから、妻も関わっていたらとどうなるだろうと想像が及んでも不思議ではありません。

では、和泉式部が鬼退治に関わるとしてどのような力を持っている考えられるのでしょうか。

 

和泉式部はその美貌と才能から様々な伝説を持つ人物です。

柳田国男によると、京都誓願寺に所属する女性たちが、和泉式部の奔放かつ悩み多き伝説を語り物にして中世に諸国をくまなくめぐったため、全国各地に逸話や伝承が多く残っているそうです。

そのうちの一つに和泉式部弁才天を同一視するものがあるのです。
和泉式部弁才天=水神です。
つまり珠世様は医者としての紅葉姫の役割と併せて、人を治療し癒す水神の力を持つ者として設定されていると考えられるのです。


数多く語られた彼女の伝承の一つに、水と猫に関わるものがあります。

13才で故郷を離れた珠世姫(和泉式部)との別れを悲しんだ飼猫「そめ」が鳴きながら霊泉に浸かり病を治したといわれています。
その霊泉は猫啼温泉として、今も福島県にあります。


◆愈史郎と温泉

次に愈史郎の名前の由来について考えてみます。

珠世様が鬼にした愈史郎は名前の由来は、温泉が関係しており、四国の愛媛県にある神社「湯神社(四社明神)」から来ていると考えました。

「湯神社」の湯と別名「四社明神」の四で湯四郎→愈史郎です。

四国にありますが、神紋は「亀甲に花菱」ですので、出雲系の神社です。

この神社は道後温泉の起源と言われ、紆余曲折を経て、明治4年、湯神社に出雲崗神社を合祀して現在の形式となりました。

道後温泉といえば夏目漱石坊っちゃん」が有名ですが、そういえば書生風の服装や短気なところが少し似ているかもしれません。

 

なぜ温泉なのかと言いますと、古代において温泉は薬と同様の医療行為と考えられていました。

風土記逸文集」などにもオオナムチとスクナヒコナの二柱の神により人々の医療のために「禁薬(くすり)と湯泉(ゆあみ)」がもたらされた旨の記述があります。

温泉は古来から癒しであり、民間医療的な効果もあり、神話においても英雄が温泉で傷を治癒するという話は多く見られます。

特に古事記日本書紀が描く神話の地には火山があり、その周辺は必ずと言っていいほど清い湧水や温泉に恵まれています。

記紀をベースにして火と水の力を描く「鬼滅の刃」では、火と水の恵みの温泉は欠かせない要素だと言えるでしょう。

炭治郎とつながりがある熊野の神事にお湯が使われますし、紅葉伝説も温泉地、和泉式部の伝説にも温泉にまつわるものがあり、珠世様と愈史郎、茶々丸の設定は温泉が共通のキーワードになっていると考えられます。

 

◆愈史郎と天狗

さらに愈史郎の設定には「天狗」が重要な構成要素となっているのではないかと思います。

日本において天狗を知らない人は少ないかと思いますが、少し天狗についても触れながら共通点を述べていきたいと思います。

そもそも天狗は中国で生まれた名前ですが、日本における天狗は、日本書紀に初めてその記載がみられます。

流星や彗星、隕石などが落下する際の様子や音を天狗およびその咆哮だと考えたようです。

天を翔る獣だった天狗はその後、山に結びつき、神、妖怪、山の精など様々に信仰、伝承されてきました。

修験者の間では神ともされ、民間では山で何だか説明のつかないことが起きればそれは天狗の仕業、といった具合です。

説明できない不思議なことをする存在ですが、基本的に姿を隠すことができ、空を飛び、千里を見通すことを得意とします。

愈史郎の血鬼術、姿を隠し、視界を操る術は

天狗の一般的な能力から発想を得ているのではと考えられます。

空を飛ぶ場面はありませんでしたが、無限城で落下した善逸を愈史郎が救う場面があります。

なぜここで助けにきたのが愈史郎だったのでしょうか。

鬼だから高所から落ちても死なないのだろうとも受け取れますが、飛ぶ行為に近いことができる存在が愈史郎だと吾峠先生の頭の中にイメージがあったからかもしれません。

 

天狗は基本的に姿を見せないと書いたばかりですが、その姿はなぜだかとても有名です。

天狗といえば、「鬼滅の刃」作品内で思い出されるのは鱗滝さんの天狗のお面でしょうか。

まさしくあれも一般的な「鼻高天狗」という天狗なのですが、天狗は種類があり、愈史郎の設定に組み込まれているのは鳥のような顔をしている「烏天狗」と呼ばれる天狗ではないかと私は考えています。

なぜなら、珠世様の設定に関わっていると思われる戸隠は飯縄/飯綱(いづな)権現が伝わる地方でもあるからです。

飯縄/飯綱権現は天狗を眷族としており、自身の姿も多くは白狐に乗った烏天狗の姿で表されます。

火防や武運の神として信仰を集める一方、飯縄権現が授ける「飯縄法」(天狗や狐を使役する術)は中世から近世にかけては「邪法」という俗信もありました。

この地で修行した三尺坊もまた烏天狗となり、秋葉権現として静岡県 秋葉山の守護神となりました。(※飯綱権現=秋葉権現説もあります。)

秋葉権現は火伏せの神として知られ、東京都 台東区にある秋葉原の地名の語源にもなっています。

戸隠から秋葉山を経て東京につながっていると考えると、パッと見ではわからないおもしろいつながりだと思います。

愈史郎の設定に天狗が含まれているとするなら、後に彼が名乗っていた「山本(やまもと)」という名字は「稲生物怪録(いのうもののけろく/ぶっかいろく)」に登場する魔王「山本五郎左衛門(さんもと ごろうざえもん)」が元だと推測されます。その姿は一説によれば三ツ目の烏天狗なのです。

ちなみに愈史郎の服装は「坊っちゃん」を思い出させると述べましたが、顔つきは江戸時代に天狗にさらわれた少年「寅吉」をイメージしているように思われます。三白眼で人を睨んで射抜くような鋭い目付きをしていたそうです。

愈史郎にあまり天狗的なビジュアルが見られないのは、そもそも隠された設定だからというのもあるかと思いますが、天狗は呼び名も地域によって様々で、姿も一定ではなく、鼻高や烏だけでなく女性や狼、人間と変わらない者までいるそうです。

世間一般で知られるような外見の特徴を含んでいなくとも不自然ではないでしょう。

 

源平盛衰記」の一節によれば、天狗は知識を得ながらも仏道を求めない僧のなれの果てで、地獄にも堕ちず往生することもない天魔だと言われています。

これは、死なないために地獄にも天国にも行かず、生まれ変わることもない愈史郎の姿に重なります。


茶々丸について
愈史郎によって鬼にされている猫・茶々丸

(単行本22巻によると珠世様が鬼にしたような記載が見えるのですが??)
和泉式部のモチーフから、猫が連れ添っていることは述べましたが、名前がそめではなく茶々丸になったのは何故でしょうか。
九州は鹿児島の妙見温泉茶々丸という猫さんがいます。
たまたまということも考えられますが、「九州」で「温泉」で「妙見」、という名前からして吾峠先生がチェックして名づけた可能性は高いと思います。
(先生はおそらく妙見信仰も調べていたと考えられるためです。)

この温泉は猫さんがたくさんいる、いわゆる猫温泉です。猫と温泉が好きな人には、これ以上はない癒しスポットだと思います。

今では気軽に飲めるお茶ですが、そもそもは薬として日本に持ち込まれたものです。

またお茶は一般的にお湯を用います。

薬と湯、両方の要素が含まれた名前です。

 

◆まとめ

以上、珠世様と愈史郎、茶々丸について考察してみました。

鬼のように傷がすぐ回復しない人間にとって、彼らの治療や薬は炭治郎たちの大きな力になりました。

無惨戦の勝利は彼らの力なしではあり得なかったでしょう。にも関わらず、鬼であった彼らのたどった結末は過酷で死んでも生き残っても、本来の死を逃れようとした鬼は悲しくて寂しい存在だというのは作品内で一貫しています。

無惨と彼が作り出した鬼はいなくなりましたが、愈史郎と茶々丸は生き残っていました。

しかし最終回の一つ前のタイトルは「鬼のいない世界」でした。

人と鬼との違いは多々ありますが、力を合わせたり助け合ったり、意志をつないでいけるのが人で、その価値を共有できるなら、その身が鬼であっても心は人なのでしょう。

苦難の果てに、安らぎと幸福があればいいなと思います。

 

◆参考文献、サイト
・原作『鬼滅の刃吾峠呼世晴集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
・『公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』吾峠呼世晴集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
・石見神楽公式サイトhttp://iwamikagura.jp/
・秋の夜長に勝手に石見神楽を解説しようじゃないか。
http://iwamikagurawota.hatenablog.com/wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/

和泉式部

「湯神社」

「飯綱権現/飯縄権現

秋葉権現

「天狗」

「大天狗」

「紅葉伝説」

・『火山列島の思想』益田勝実 著 講談社

・『火山で読み解く古事記の謎』蒲池明弘著 文藝春秋

・『天狗にさらわれた少年 抄訳仙境異聞 』平田篤胤 著 今井秀和 訳/解説  角川ソフィア文庫

・『桃太郎の誕生』柳田国男 著  グーテンベルク21

じゃらん妙見温泉

https://www.jalan.net/news/article/319413/

【ネタバレ含む】竈門炭治郎の考察

鬼滅の刃 10 (ジャンプコミックスDIGITAL)

祝・生誕!!

炭治郎の生誕祭にネットの片隅から一筆添えたくて、竈門炭治郎の考察をしてみたいと思います。

単行本化していないところもネタバレ含んでいますので知りたくない方はご注意ください。

 

◆竈門 炭治郎(かまど たんじろう)とは

7月14日生まれ。
東京府 奥多摩雲取山(現:西多摩郡雲取山)出身の15歳。
炭焼きの家の長男として平和に暮らしていたが、鬼舞辻無惨に家族を殺され唯一生き残った妹・禰豆子も鬼にされてしまう。
妹を人に戻す方法を探しながら仇討ちを誓って、修行と選抜を経て鬼殺隊に入隊した。
水の呼吸を会得しているが、本人の体質には日の呼吸が合っており、両方を使用する。
趣味は頭突き、掃除。

 

頭突きは趣味だったのか!
もう一つの趣味は掃除だそうですが、作品内では料理がうまいことも明かされています。
働き者で家事万能。性格も穏やかとくれば結婚する男性として非の打ち所がないですね。


◆竈門炭治郎の名前の由来

まず名字の由来はネットでも言われている通り、福岡県の竈門神社に由来しているのでしょう。縁結びの神社だそうですので、炭治郎の能力の一つ「隙の糸が見える」はここに由来しているのかもしれません。
竈の神は火の神であると同時に水を支配する神様です。
炊事場である竈で火が暴走しては大変です。火の暴走を抑えるのは水。つまり竈の神は水の力も持っているのです。
また竈は家の他の場所と違い、少し暗いことからあの世との境目という考える説があります。

そして後述しますが、カマドは炭治郎の設定に関わる神の神事に使われる物でもあります。


炭治郎という下の名前にも、火と水を治めるという意味が反映されていると考えられます。
炭は火加減を操るものであり、治は河川の氾濫を抑える、水をやわらげるという意味から成り立っている漢字です。
火や水という字が直接的には使われていませんが、火と水を操る力を持つ者という意味が名前に込められているのです。

これは実は作品名にもちゃんと示されていて「鬼滅の刃」の「滅」は「水」を表すサンズイに、「火」が入った字が使われています。

火と水の力を持つ刃をもって鬼を滅する物語と読めるんですよね。すごくうまく練られた作品名だと思います。


炭治郎は裏表のない穏やかで実直な性格ですが、その人物設定には随所に「二面性」のキーワードが読み取れます。


それは衣服でも表現されていて、炭治郎は2色で成り立つ市松模様の羽織を来ています。
緑と黒の色の意味は、はっきりとわかりませんが、生命を表す緑と死を表す黒、あるいは神楽「大蛇」でスサノオノミコトが着る衣装の色が緑や黒なのでその組合せかもしれません。


◆炭治郎と大江山鬼退治

大江山」の物語視点から炭治郎を見ると、渡辺綱(わたなべのつな)のポジションにあたると考られます。
美男子だそうです。
大江山以外でも鬼と戦っており、刀で鬼の腕を切り落としたという伝説があります。
炭治郎は美男子ではなさそうですし、無惨戦で腕を失ったのは炭治郎の方でしたので、これらの点は相違していますが、渡辺綱頼光四天王の中で最も若いですが、筆頭とされている人物で、一方の炭治郎は同期の善逸・伊之助との三人組の中で実は一番年下で、長男力を発揮してまとめ役になっているところは共通している点だと思います。
大江山の鬼退治では、一行が舞を舞って(神楽ではない)鬼を油断させるというくだりがあるのですが、鬼滅の刃では神楽が鬼を攻撃する技になっているところは面白いと思います。


渡辺綱は現在の埼玉県鴻巣市の生まれで、先祖の住まいがあったとされている土地の近くには渡辺綱が勧請したという箕田氷川八幡(みのたひかわはちまん)神社と、創建に関わったという宝持寺(ほうじじ)があります。


宝持寺には渡辺綱のものと伝わる太刀が残されており、宝持寺のホームページの写真で拝見する限り、黒い太刀のようです。炭治郎の黒い日輪刀と重なります。


箕田氷川八幡神社スサノオノミコトを祀っており、こちらも炭治郎の設定にかなり深く関わっています。


◆炭治郎とスサノオノミコトと熊野

では、スサノオについて見ていきます。
スサノオノミコトは「古事記」では黄泉の国から戻ったイザナギがみそぎを行った際にアマテラスとツクヨミに次いで「鼻」から生まれた神様とされています。
炭治郎の優れた才能の一つ「鼻が利く」という設定は、思いつきで与えられたものではないことがわかります。


また「日本書紀」では、イザナギイザナミの間に生まれたとされていて、アマテラス・ツクヨミヒルコの後に生まれたとされ、
高天原で暴行を働いたことから追放されて根の国に赴こうとした話があります。(古事記ではスサノオ根の国の支配者になっています。)

 

スサノオは死んでしまったイザナミを思って泣いたり、妻になる女性とその家族のためにヤマタノオロチを退治するような情に溢れた英雄的な面を持つ一方で、高天原で乱暴狼藉を働く鬼のような荒々しさもある二面性を持つ神様です。

そのためかとても人気のある神様で、祀られている神社も全国にあります。

その中でも特に有名な聖地といえば、熊野三山ではないでしょうか。

出雲の祖神でもあり、一般的には海神や農耕神として祀られているスサノオですが、火神として祀られているところもあります。

島根県松江市の「熊野大社」という神社です。

別名「日本火出初之社(ひのもとひでぞめのやしろ)」とも呼ばれ、火の発祥の神社といわれていますが、ここに祀られているのがスサノオノミコトです。
ここではスサノオは人の世に初めて火をもたらした神様だと言われているのです。

熊野大社はもちろん和歌山から三重南部の熊野地方にある熊野三山とつながりがあります。

炭治郎が熊野大社スサノオと関係していることは出身地からも読み取れます。
炭治郎の出身地は雲取山ですが、この山の名前は熊野古道の大雲取越・小雲取越に由来している名前だそうです。
熊野古道とはその名の通り、熊野信仰の本拠地・熊野三山へ詣でるための参道。
熊野本宮大社が祀るのは家都美御子大神=スサノオノミコトです。
適当に雲取山が出身地と設定しているわけではないんですね。

 

火の神?水の神?

少し話がそれてしまうのですが、スサノオノミコトの神としての属性について、一般的に考えられていることとは違う説を挙げてみたいと思います。

というのも、吾峠先生はこの説を支持した上で炭治郎の設定に組み込んでいるのではないかと考えているからです。

先の項で触れた通り、スサノオノミコトは一般的には海神とされているが、一部で火神として祀られています。

しかし、世で一般的に支持されていることとは違い、「スサノオノミコトは本来、火山の神ではないか?」とする見方があります。

(個人的に説得力がある説だと思いますが、あくまで少数派です。)

古事記日本書紀スサノオの描写が火山活動を描写したものとも読めることなどが理由として挙げられますが、かなり長くなってしまうので詳しいことは別の機会に譲ります。

しかし、父であるイザナギに命じられたのは、真逆の性質の海の支配。

海神ではあるけれど、本来の性質は火神。

水の呼吸を会得しながら、本来の体質は日の呼吸が合う炭治郎に重なります。

そして、スサノオを火神とするならば、妹の禰豆子の設定に関わっていると考えられる火神カグツチと同じ性質を持っているということにもなります。

さらに火の中でも火山の神だとするならば、炭治郎の日輪刀が黒い理由も火山内部から採れる黒曜石をイメージしているからだと考えられます。黒曜石は古代日本において、刀剣の材料でした。

 

スサノオと同様に水ではなく火山を象徴するのではないかと考えられている存在がもう一つあります。

それがスサノオが退治したというヤマタノオロチです。

ヤマタノオロチは一般的に河川の氾濫を象徴するものだと考えられていますが、その姿の描写から火山の溶岩流ではないかという説もあります。

だとするなら、スサノオヤマタノオロチは火と水の両面を持つ同質の者同士ということになります。

 

鬼舞辻 無惨が自分の行いを災害のようなものと例えるセリフが作品中にもありますが、鬼の力とは山、もっといえば地下に眠る火山の力と言えるかもしれません。

 

先ほど炭治郎の炭は火を操る意味があると言いましたが、もう一つ漢字のパーツをそのまま見てみると、炭という字は山の下に火があります。

漢字の成り立ちとは違いますが、この要素をそのまま視覚的にとらえた場合、山の地下で燃え盛る火、火山のイメージを重ねることができます。

炭治郎が鬼の要素を持っていることが名前からも読めるのです。


スサノオノミコトの別の姿

スサノオは「牛頭天王(ごずてんのう)」という神様と一体で信仰されることがあります。

 

これは「本地垂迹(ほんじすいじゃく)」という仏教の考え方で、仏様が世の様々な人々を救うため、それに合わせて様々な神様などの姿をして現れるというものです。
その考えに基づくならば、スサノオノミコト牛頭天王でもあるのです。

 

牛頭天王祇園精舎の守護神なのですが、疫病を思いのままに操る力と、疫病から守護してくれる力を持っている疫病神とされています。
神様ですが、二本の牛の角を持つ巨人の姿で表されることもあり、その姿はまさに鬼のようでもあります。
炭治郎に鬼の素質があるというのは、スサノオの荒々しい一面と共にこの部分が反映されているのでしょう。
無惨戦での変貌は設定の時点から考えられていたことだったのです。


牛頭天王を崇める祇園信仰は全国各地にありますが、特に京都の八坂神社が行うお祭りは有名です。
日本三大祭のうちの一つ、祇園祭がそれです。


炭治郎にこの牛頭天王の設定が取り入れられていることは、誕生日からもわかります。
祇園祭は7月から一ヶ月にわたって開催される大きなお祭りですが、7月14日は山鉾が登場する宵山の前祭の初日にあたります。


牛頭天王スサノオと合わせて祀られる一方で、大国主(おおくにぬし)の荒御魂ともいわれています。
そして大国主はカナヲのモデルと考えられる女神 イチキシマヒメの夫だとされています。


スサノオノミコト酒呑童子の因縁

ここまで炭治郎の設定にスサノオが深く関わっていることを述べてきました。

では、そもそもなぜスサノオを炭治郎の設定に組み入れることにしたのでしょうか。

先述の通り、渡辺綱スサノオは無関係ではありませんが、それだけでは説明できないほど炭治郎の設定はスサノオの影響を多大に受けています。


スサノオといえば、有名なのはヤマタノオロチ退治で、鬼退治は聞いたことがありません。


その答えになりそうなものを「大江山」で鬼の首領であった酒呑童子の伝説から得ることができました。


酒呑童子にはいくつかの伝説がありますが、その中の一つに「酒呑童子ヤマタノオロチと人間の女性の間に生まれた子ども」だったという説があります。

その伝説ではヤマタノオロチスサノオに斬られるも死なずに逃げ延び、裕福な人間の女性と結婚し子どもをもうけたそうです。

 

炭治郎をスサノオに見立てたならば、「鬼滅の刃」は「大江山」の鬼退治の物語でありながら、仕留め損ねたヤマタノオロチスサノオが再度挑む物語とも読めるのです。


◆まとめ

ようやく主人公 竈門炭治郎の考察を書くことができました。

主人公だけに、一見して単純なようでいて実はかなり深みがあり、一度書き始めてまとまりがつかなくなっていました。

結局、少し削った部分もあり、今も書きながらそのうち大幅な加筆修正をしなければならないのではないかという念が拭いきれません。

家族や仲間思いでたまに天然で、いつもは穏やかだけどいざという時はやる、強くて頼れるお兄ちゃんは「鬼滅の刃」の大きな魅力です。

痣を持っていた炭治郎がその後、どんな人生を生きたのかは描かれませんでしたが、子孫が幸せそうに暮らしているところをみると、余生が長いにしろ短かったにしろ、きっと幸せだったのだろうと思います。

思いますが、正直もうちょっとそのへんが見たかったので番外編とか出ないかなと夢を見ている今日この頃です。

 

 

 

◆参考文献、サイト
・原作『鬼滅の刃吾峠呼世晴 著  集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
・『公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』吾峠呼世晴  著 集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
・石見神楽公式サイト

http://iwamikagura.jp/
・秋の夜長に勝手に石見神楽を解説しようじゃないか。
http://iwamikagurawota.hatenablog.com/
wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/

渡辺綱

祇園祭

牛頭天王

本地垂迹

・宝満宮 竈門神社 公式サイト

https://kamadojinja.or.jp/

曹洞宗 宝持寺 公式サイト

http://hojiji.com/

・猫の足あと  埼玉県寺社案内

https://tesshow.jp/saitama/konosu/shrine_mita_hachiman.html

・み熊野ねっと

https://www.mikumano.net/kodo/kodokumotori.html

・『酒の伝説(Truth In Fantasy88)』朱鷺田祐介新紀元社出版

・『火山で読み解く古事記の謎』蒲池明弘著 文藝春秋

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【ネタバレ含む】伊黒小芭内の考察

 

鬼滅の刃 19 (ジャンプコミックスDIGITAL)

蛇柱・伊黒さんの名前の由来について、考察してみたいと思います。

  (※2020/8/10加筆修正しました。)

(※2021/1/2 ◆名字の伊黒について 加筆修正しました。)

 

◆伊黒 小芭内について

21歳。
誕生日9月15日。
東京府 八丈島 八丈富士 西山 出身。
蛇の呼吸を使う蛇柱。
蛇の下半身を持つ女の鬼に捧げる生贄として育てられていたが、逃亡。
左右の瞳の色が違うオッドアイで、左目は弱視だが、首に巻き付いているオスの白蛇 鏑丸の助力を得てそれを補っている。
恋柱の甘露寺 蜜璃に好意を寄せているが、出自を恥じていることから、現世で想いを告げるつもりはない。


◆どんな蛇?

神話をモチーフにした話ならば、蛇の要素はあってしかるべきですし、資料もかなり豊富にあります。
蛇信仰は全国各地といわず世界中にありますし、ありすぎて逆にどれに絞ろうかといった具合ではないでしょうか。とはいえ有名なところを選んでしまってはすぐにマニアな読者が気づいてしまいそうです。
そして蛇と一口に言っても大きさから色まで様々です。

私は伊黒 小芭内の名前は、小さい黒蛇を意味しているのではないかと考えています。


◆苗字の伊黒について

まず苗字から見ていきます。

イグロという名字は珍しいですが実在します。「井黒」と表記する場合が多く「伊黒」と表記するのはさらに珍しいようです。

この漢字の組み合わせで伊黒としたのは、伊は伊豆諸島の伊に当たるものだからではないかと思います。

伊黒さんは黒蛇だと述べましたが、名前からそれを説明します。
蛇はイと読むこともあるのです。


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出典:モジナビ https://mojinavi.com/

 

つまり伊を蛇に変えれば蛇黒ということになります。ということで、伊黒さんは黒蛇です。

黒蛇はモモソヒメの伝説に登場した夫・大物主は小さな黒蛇が正体でしたが、下の名前の小を付け加えれば伊黒さんの名前は「小さい黒蛇」と読み取ることができ、合致します。


大物主は国造りの神であり、竜蛇神であり、水神、雷神及び火神でもあります。

蛇の神様の中でも最高ランクの神様でしょう。 

◆芭という字

芭には花という意味がありますが、あえて花や華の字を使用しなかったところに、こだわりがあるのではと考えています。
芭は草かんむりに巴。
巴は神社の巴紋でも言われますが、とぐろを巻いた蛇を象っていると言われます。
巴蛇(ハダ)といえば中国の巨大な黒蛇のことです。
吾峠先生は、ここで巴の字に蛇の意味を込めているのでしょう。


◆小芭内には2つの意味がある

名前だけで言うと、伊黒さんの名前は個性派揃いの鬼滅の刃の中でも抜きん出ていると思います。
いぐろはまだいいとして、おばないってな何…?って思った人はきっと多いはずです。

この作品以外で同じ名前は見たことがありません。それだけに並々ならぬこだわりを感じます。
漢字を分解して芭が花の意味で、片目が青でかつて彼岸花は蛇花ともいうから、青い彼岸花は伊黒説もありました。


私は小芭内の名前の中に2つ意味が隠されているのではと考えています。一つは出身地とされている八丈島の大蛇伝説による「蛇から逃れた者」。
もう一つは南部九州で行われているお月見の行事で表現される「蛇の加護を受けた者」という意味です。

 

◆三宅記にある大蛇伝説


 少し長くなりますが、八丈島の「三宅記」に書かれている大蛇伝説を簡単にお話しします。


齢370を超える老夫婦が箱根の湖のほとりに住んで漁をしていた。ある日、夫は大漁を約束する代わりに水神の蛇に三人娘のうち末娘を捧げる約束をしてしまう。
約束の日、蛇が男の姿になって迎えに行くと娘たちは鳩の姿になって飛び去り、お目当ての三女は富士山の方へ逃げた。逃げた先には三嶋大明神がおり、娘が事情を話すと助けてくれるという。三嶋大明神は従神である若宮と見目(女神・弁天であり水神)に相談、娘を御嶽に隠した。見目は追ってきた大蛇に飯と酒を提供して眠らせる。伊豆諸島の王子・后(神々)が見物に来ており、眠った大蛇を斬り殺した。斬られる際に大蛇が暴れ、岩陰で見ていた水戸口の后にその尾があたり、左目がつぶれた。
事が片付いて、三嶋大明神が御嶽に娘を迎えにいくと見つからない。怒って見目に探させると、三女は躑躅(つつじ)の中にいた。三女は小蛇がいたので大蛇の眷属かと思って躑躅の中に隠れていた。着物の色と躑躅の花が重なって見えづらかったのでしょう、逃げたのではありません、と言った。大明神はこれよりこの島の躑躅は花を咲かせないように、蛇はこの島にいてはならん、といった。三人の娘は三嶋大明神の后となった。


◆大蛇伝説と重なる部分


伊黒さんは蛇柱ですが、蛇のような鬼から逃れたという過去があります。
小芭内の芭には花の意味もあり、躑躅の花の内に隠れて蛇から逃れた伝説と重なります。
躑躅の花は「鬼滅の刃」の中では鬼を象徴する花で、鬼の内にいたという意味を含んでいるとも考えられます。
また名前とは関係ありませんが、左目が弱視という設定もこの伝説と重なる部分があると思います。


八丈島が選ばれた理由


(※2020/8/10加筆修正)
鬼滅の刃のキャラクターはなぜか皆、東京またはその周辺出身となっており、伊黒さんも離島とはいえ東京出身です。
蛇の神話や伝説は数多く、東京周辺にもいくつかあります。
その中でも八丈島が選ばれた理由は、2つあると考えています。
一つは八丈島の蛇伝説が題材として面白かったから。
もう一つは、伊黒さんの設定は九州の熊本以南の西南諸島、離島をイメージしているからだと思います。
具体的にどの島かを特定するのは難しいですが、鹿児島県の鬼界ヶ島とも呼ばれる硫黄島は有力な候補の一つではないかと考えています。
ここは俊寛僧都の伝説で有名な土地です。(諸説あり。)
ご存知の方もいるかもしれませんが、俊寛僧都の伝説についてざっくり説明します。

 

俊寛(しゅんかん)は平安時代後期の僧で、陰謀を企てたかどで共犯の貴族2人と共に硫黄島/鬼界ヶ島に流刑になった。後に俊寛以外の2人は恩赦で都に帰れることになったのに、彼だけは赦されず泣き叫ぶも島に一人残され、都にはついに戻れなかった。悲劇の伝説。


この伝説は平家物語や能、歌舞伎などいろんなジャンルで作品化されており、人形浄瑠璃にも「平家女護島(へいけにょごのしま)」という作品があります。(俊寛の話はその中の「鬼界ヶ島の段」)。
「女護島」とは「女ばかりの島」という意味で、近世日本においては八丈島奄美諸島の喜界島、与那国島など実在の島がそうであるという話が普及していました。
伊黒さんは女ばかりが生まれる一族の中で、久しぶりに生まれた男だったと語られていますが、この女護島の伝説が採り入れられているのでしょう。

 

東京の八丈島と鹿児島の鬼界ヶ島が「女護島」をキーワードにして結びつくのです。


つまり、「鬼滅の刃」内では八丈島とされていますが、同時に鹿児島県の鬼界ヶ島が描かれているのです。
実際の硫黄島ですが、島には700mを超える山があり、平家の城や、熊野神社・岳の神神社(たけんかんじんじゃ/蔵王権現)をはじめとする多くの神社があります。
八丈島にも800m超の八丈富士がありますし、伊黒さんのお家もなかなかのお屋敷だったようなので特徴は似ていると思います。


ただ先にも少し触れましたが、現代では鬼界ヶ島といえば硫黄島のことですが、俊寛僧都の流された鬼界ヶ島が当時はどこのことだったのかは諸説あり、いまだ特定はされていません。
そのため私は「鬼滅の刃」内で描かれていた八丈島は主に硫黄島/鬼界ヶ島のイメージを重ねて描かれているものの、他の候補地の特徴も何らかの形で伊黒さんのキャラクター設定などに採り入れられているのではないかと考えています。
たとえばその一つに、奄美諸島の喜界島があります。こちらも俊寛僧都伝説の候補地の一つで、平家の落人、女護島の伝説で語られていた土地であり、地形の特徴は違うものの文化的な条件は八丈島に重なるものがあります。
喜界島は神の島とも言われるほど神社の多い土地で、中でも一番多いのは食物を生み出す神様 保食神(うけもちのかみ)を祀る「保食神社」だそうです。
伊黒さんが来世で食堂を営んでいるのはこのことと関係があるかもしれません。だとしたら、きっと伊黒さんは食べるより作って食べさせるのが好きなタイプなのでしょう。


◆九州南部、島と蛇


鹿児島県の島々と八丈島の結びつきは述べましたが、次になぜ蛇が結びついたのかについて、考えてみたいと思います。
八丈島硫黄島/鬼界ヶ島を結びつけるのと同時か前後しているのかはわかりませんが、吾峠先生は鹿児島県南部および周辺の離島を調べているのではないかと思います。
これは、古代日本において「隼人(はやと)」が住んでいたとされる範囲です。
隼人は日本神話の海幸彦を始祖とし、祖神火照命の末裔とされる人々。
阿多(あた・薩摩)隼人・大隅隼人の二区分があったといわれています。
他にも「日向隼人」、種子島屋久島は「多褹(たね)隼人 」、甑(こしき)島には「甑隼人」という集団がいたといわれることがあります。(ただし、これらは集団名ではなく資料の誤読ではないかとの指摘もあります。)
神話をふんだんに採り入れた「鬼滅の刃」には確実に採り入れられているはずの題材です。
たとえば甑隼人がいたという甑島(こしきじま)という離島ですが、甑(こしき)とは一般的に蒸し器のことで蛇とは無関係に思えますが、地方によっては藁で作られた保育器をこう呼ぶことがあります。
この「こしき」と呼ばれる保育器は、かつてとぐろを巻いた蛇を連想される形をしていたことがままあり、蛇がとぐろを巻く様を「こしきだてる」という表現もあります。
甑島は「続日本紀」にも登場する神話と歴史のある島で、甑大明神という神様も祀られています。
また、隼人族の盾には蛇を思わせるような逆S字が描かれています。
隼人族から九州南部とその離島、そこから蛇のイメージが浮かび、八丈島につながっていったのかもしれません。

 

◆南九州のお月見と蛇


小芭内さんの名前の中にあるもう一つのモチーフは熊本以南から西南諸島に伝わるお月見行事だと私は考えています。
その理由ですが、まず誕生日が9月15日であることが挙げられます。誕生日花はススキです。わりとわかりやすく名前に「おばな(=尾花=ススキ)」と入っています。
また暦上、ずれていくものですが9月15日は十五夜でもあります。
蛇とお月見を結びつけたのは、吾峠先生の出身地 福岡県の大蛇山祭りの影響もあるのではと思います。
大蛇山祭りとは、福岡県大牟田市の三池祇園を元に他の祭りも併せたお祭りで、大蛇山の山車の大蛇はいろいろありますが主に黒です。そして三池といえば「月が出た出た♪」の炭坑節で有名な所。祭りは夏に行われますが、大蛇祭りといえば月なのでしょう。


話を南九州のお月見に戻します。
南九州から西南諸島のお月見には本州ではあまり見られない習慣がいくつかあり、その中のひとつに綱を作るというものがあります。
その綱は、皆でひきずって町を練り歩いたり、綱引きをしたり、とぐろに巻いたり、頭を蛇頭に丸め反対を細らせるなど、蛇を意識しているものが多く見受けられます。
これは脱皮を繰り返す蛇と、満ち欠けを繰り返す月に関連性を見出だしているためと考えられます。それすなわち、死と再生です。
この蛇は水神を模していて、町に引き揚げることで清めているのです。
たとえば、宮崎県の南部えびの市では十五夜に藤葛と藁で作られた綱のとぐろの中に少年が一人入り、他の少年が線香を投げつけると中の少年が飛び出すというものがあります。
行事の意味は正確にはわかっていないようですが、蛇から飛び出した少年は命が再生する姿を表しているとも考えられますし、蛇と月の加護あるいは神力を宿しているとも考えられます。
その後、五穀豊穣と健康を祈念して綱引きをするそうです。
保育器のこしきが蛇のとぐろに似た形をしていたように、古く南九州では蛇が子どもを守る、あるいは子どもが蛇のとぐろの中で育ち加護や神力を得るという考えがあるのかもしれません。
この「蛇の内で蛇の加護と力を得た者」が、伊黒さんの名前のもう一つの意味だと思います。


◆相棒 鏑丸

最後に相棒の鏑丸についても触れておきたいと思います。
鏑丸の名前の由来は、蛇宮(じゃぐう)神社の祭神からとられていると考えています。
近くを流れる鏑川(かぶらがわ)の主であり、その姿は白蛇だそうです。
蛇を神とする神社はたくさんありますが、その中でも蛇を名前に掲げる神社から名前をとったのでしょう。
鏑丸が白蛇で伊黒さんは黒蛇。
伊黒さんの羽織の白と黒は、自身と鏑丸を表していると考えられます。


◆まとめ


一見、奇抜な名前にしか見えない、蛇にも縁がなさそうな伊黒 小芭内という名前ですが、蛇の神話や伝説、甘露寺さんとの関係や鏑丸との色のバランスまで考え抜かれた名前と設定があることがわかりました。
終戦も粘り強い戦いぶりで、大きく貢献しています。
現世で幸せになってほしかった思いはありますが、鬼のいない来世で幸せな姿が垣間見られて良かったです。
 

鬼滅の刃」の考察は九州と切っても切り離せないので、今回の豪雨災害に思い及ばずにはいられません。
今のところ祈ることしかできませんが、どうか皆さん無事で。
一日も早く天気が回復しますように。
 
◆参考文献、サイト
・原作「鬼滅の刃吾峠呼世晴 著  集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
・「公式ファンブック 鬼殺隊見聞録」吾峠呼世晴  著 集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
 ・pixiv百科事典 https://dic.pixiv.net/
「伊黒小芭内(いぐろおばない)」
wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/
甑島(こしきじま)」
倭迹迹日百襲姫命(やまとととびももそひめ)」
「大蛇祭り(だいじゃまつり)」
「隼人(はやと)」
・mojinavi(モジナビ漢和辞典
「イ」と読む漢字
https://mojinavi.com/
・玄松子の記憶
「蛇宮神社」
https://genbu.net/
・龍鱗
十五夜の綱引き(宮崎県えびの市)」
「大蛇討伐(古典)/「三宅記」より」
http://www.hunterslog.net/dragonology/S/index.html
 ・「『火山で読みとく古事記の謎』トラベルガイド 神話の舞台を歩く」蒲池明弘 著 文春e-books

・喜界島酒造株式会社

「くろちゅうマガジン52」

https://www.kurochu.jp/magazine52.htm

・名字由来net

「伊黒」

https://myoji-yurai.net/sp/searchResult.htm?myojiKanji=%E4%BC%8A%E9%BB%92

 

 

 

6月から7月のざっくりとしたつぶやき

どうぶつの森ポケットキャンプにはまっているうちに6月が過ぎ去り、7月になってしまいました。

鬼滅の刃」は無事完結し、単行本の発刊も残り2冊。

何度読んでも無惨戦はつらいですが、最後まで見届けたいです。

もうすぐ全国各地でアニメの全集中展も始まります。

一応、抽選には応募しましたが…今年はマスクからカフェからゲーム、はては宝くじまでいろんな抽選に応募しているのにも関わらず、驚くほどどれにも当たっていないので、きっと当たらないだろうと早々に諦めています。なので、当たったらものすごく喜ぶと思います…当たらないと思うけど。

なんでだ。前世で何か罪を犯したか。


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【ネタバレ含む】不死川実弥・玄弥の考察

不死川兄弟の名前の由来やモデルについて考察をします。

なぜ2人を一緒にやるのかといいますと、考察してみたところこの2人はセットでやらないと意味がないという結論に至ったからです。

コミック最新刊とジャンプ本誌のネタバレをさらっと含みますので、一切知りたくないという方はご注意願います。

鬼滅の刃 17 (ジャンプコミックス)

◆まずは2人のプロフィールから


不死川 実弥(しなずがわ さねみ)
東京府 京橋區(現:中央区 京橋)出身の21歳。
風の呼吸の使い手で最高位である風柱。
体は傷だらけで見た目は粗暴、短気で荒々しい。
鬼は片っ端から皆殺しといった考えの持ち主で炭治郎とは仲が悪く、義勇のことはガチで嫌っている模様。
鬼が好む稀血の持ち主で、その匂いを嗅いだ鬼は酩酊状態になる。
弟を守るために鬼になった母を殺した過去を持つ。好物はおはぎ。
炭治郎の同期 不死川 玄弥は弟だが弟を思うあまり「弟はいない」と冷たく突き放す。

鬼滅の刃 13 (ジャンプコミックス)

不死川 玄弥(しなずがわ げんや)
出身地は兄と同じで、16歳。
炭治郎たちと同期で風柱 不死川 実弥の弟だが、呼吸を使えず銃を使用する。
鬼の一部を「喰らう」ことで、鬼の再生力・怪力などを一時的にコピーすることができる特異体質の持ち主。

これは稀有な能力ではあるが、自我や理性を失うこともあるので、諸刃の剣となる。
鋭い目付き、鼻面を横一文字に走る大きな傷跡、頭頂部以外を刈り上げた髪型が特徴。
趣味は盆栽。


個人的には玄弥の誕生日が火祭の鬼夜と同じ1月7日というのが気になります。
やっぱり鬼を意識しての設定なんでしょうか。
あと同じ16歳なのに善逸とは全然違うなと思います。


◆不死川の由来


漫画で作られたような苗字の印象すらありますが、実在する苗字です。
そのままフジと読ませることもあります。
名前の由来ですが、まず字は静岡県富士川の漢字を変えたものと思われます。
富士川には風の宮(風神宮)があります。
また、フジではなくシナズと読ませているのは、風神 シナツヒコを意識してのことだと思われます。


◆風の神社とおはぎ


風の神社は全国各地にありますが、全国各地にあるならば、きっと吾峠先生は九州を選ぶでしょう。
熊本県 阿蘇市にも風神社があります。
ここの風神社には、あまり聞かない特徴があります。

以下は阿蘇神社HPに掲載されている風宮の神事について書かれたものを一部抜粋して紹介します。

風の神を祀る風宮が宮地地区・手野地区と2ヶ所あり、それぞれ小豆飯が供えられ神事が行われます。宮地地区の風宮の神事が終わると、2人の神職が御幣をかざし、異なる道を通って手野地区の風穴に悪しき風を追い立てます。

ここで読み取りたいのが、阿蘇の風宮は風を吹かせる神社と、吹き飛ばされた悪いものを吸い込む風穴の役割をする神社二つが一つの役割を成すところです。
双子だと一般的に一つのものが二つに分かれた、性質が極めて似ているイメージですが、そうではなく属性は同じでも全く違うものがそれぞれ存在しているいわば兄弟のようなイメージです。


そして、その神事には小豆飯を供えます。
小豆にもち米といえば不死川 実弥さん大好きなもの、おはぎです。
小豆飯がなぜおはぎになったのか。
甘さはキャラクターの意外性を考えて先生がおはぎにしようと思ったのかもしれませんし、後述する別のある事柄が付加された結果かもしれないと考えています。


◆実弥と玄弥の由来


風に実弥と玄弥がどうつながるのか。
私なりに考えてみました。

不死川兄弟には名前の由来となったモデルが存在します。

それは九州の武将 秋月 種実(あきづき たねざね)と、その弟 種冬(たねふゆ 後に大庭 源馬/おおば げんばと改名)です。


秋月種実は反骨精神ある武将で、九州の大部分を支配していた大友宗麟、後には豊臣秀吉にも刃向かいました。

 

大友宗麟といえば、部下に戸次鑑連(立花道雪)がいます。雷神の化身と呼ばれた武将です。
秋月種実は彼とも一戦交え、かなりの打撃を与えました。

秋月種実には風にまつわる異名はありませんが、雷神に対するのは風神という連想で選ばれたのではないかと考えられます。
秋月家の兄 種実を実弥、弟の種冬(源馬)を玄弥としているわけです。


そして、阿蘇神社の風宮に二人の関係を照らすと、実弥は風柱として風を吹かせる者、玄弥は風穴のように悪いものを呑み込む力を持つ者と解釈できます。


玄弥は字がモデルと違う字が使われていますのでさらに考察してみたいと思います。

まず玄の字は、後の名前 源馬の源(げん)と同じ読みで玄冬という言葉にも使われる冬をイメージさせる字です。
字を変えているのは、種冬と源馬 両方の名前も取り入れた名前にしたかったのだろうと考えられます。
そして、玄弥の髪型は作品ではサイドは癖毛で刈っておかないとおかしな髪型になってしまうという説明がなされていますが、この髪型、馬のたてがみに似ていると思いませんか?
これは源馬の「馬」が外見のイメージに反映されているからだと思われます。


また、玄弥は『大江山』鬼退治のメンバー 卜部 季武(うらべ すえたけ)のキャラクターも一部取り込まれているのではないかと考えています。
卜部季武は弓を得意とする人物でした。
大正時代であのとんでもない身体能力を持つ鬼たちに弓はさすがに心もとないので、銃に置き換えられているのではと考えています。


◆秋月家と弥


それでは、実と玄は秋月家の兄弟から由来しているとして、「弥」はどこから来たのかについて考えてみたいと思います。


弥の字自体を調べてみましたが、「いよいよ、ますます」などの意味で、この字も風に深い関連性はなさそうです。
そこで弥を使う単語で真っ先に思い浮かぶ暦の3月の異称「弥生」に由来しているのではないかと考えました。
ですが、そうだとすると弥生と秋月との関連性がどこにあるのかが問題になります。


私はそれを秋月家の家紋から読み解けるのではないかと考えました。


秋月家の家紋は三つ撫子。この撫子は唐撫子(からなでしこ)です。
秋月家の家紋は秋の月に撫子という故地の情景を祈念したものということですが、唐撫子は武家に好まれた図柄でもあります。
中国にてある武将が岩を虎と間違えて矢で射たところ岩に刺さり、この花になったという言い伝えが武道の精神として好まれたからです。
そして唐撫子はその別名を石竹(せきちく)といいます。


ここで3月の異称についてもう一度、さらに詳しく見てみます。3月の異称は弥生だけではなく、他にも桜月、蚕月、夢見月など多くの異称が存在します。
その中の一つに竹の秋という異称があります。
竹は他の木と違い春に黄変することに由来する別名です。


すると、こういう連想が成り立つのです。


「石【竹」の「秋】月」=3月=弥生→弥


つまり弥生の弥1字で秋月家という意味を込めているのです。
実弥と玄弥はそれぞれ二文字の名前でありながら、秋月種実と種冬(大庭源馬)兄弟の名前であると読めるのです。

兄弟が表紙を飾る単行本の色使いが黄色と緑のグラデーションなのもきっと黄変した竹つまり「竹の秋」を意図しての色使いだと私は考えています。


◆実弥が甘いものが好きな理由


秋月種実は秀吉に敗れ、今の宮崎県高鍋に移封されました。島流しみたいなものです。
死ぬ直前まで筑前 秋月に戻りたいと願っていたそうです。
その秋月とは甘木地方。今でいう福岡県 甘木市になります。
好きな食べ物が、小豆飯ではなく甘いおはぎになったのはこのエピソードのためかもしれません。小豆ともち米に先生が甘さを追加したのです。

 

また実弥はかぶと虫を育てるという趣味があるのですが、かぶと虫はサイカチという木の樹液を好むことから別名サイカチ(ムシ)ともいいます。
イカチは「再勝ち」に掛かることから武士に好まれた木で別名カワラフジノキ。鬼が嫌う「マメ」科の植物。痛そうな刺がいっぱい生えてます。
花言葉は「見かけによらず。」なので、花言葉から人物像を意識しての設定かもしれませんが、もう一つ、カブトムシが好む甘い樹液が出る木から「甘木」を連想して設定していると考えられなくもないのです。


というのも、大正時代においてかぶと虫の飼育はちょっと変わった趣味だからです。
かぶと虫の飼育に人気が出たのは怪獣がテレビで人気が出始めた1960年代からです。
江戸時代から鳴く虫やとんぼなどを飼う人は多くいましたが、カブトムシはこの頃まだそんなに人気がないはずです。
そこへカブトムシの飼育が趣味とわざわざ設定しているからには、それなりに理由があるのではと考えています。


◆まとめ


以上、不死川兄弟について考察してみました。

 

・不死川兄弟は設定上、2人兄弟でなくてはならなかった。
・兄弟のモデルは秋月種実と大庭源馬。

 


不死川兄弟は苗字はあまりひねられていなくて、わりとすぐわかったのですが、名前の方の作り込みがすごく凝っていて読み解くのが大変でした。
その難解さは善逸といい勝負で、数日間の悩みは「さねみってなんなのさ」でした。
容易に推測を許さない吾峠先生の作り込みの細かさには脱帽です。


登場時こそ印象が良くない2人でしたが、終盤に近づくにつれてかなり印象が変わったと思います。
特に実弥はあんなに柔らかく笑う人になるとは思いませんでした。
7月には過去を描いた小説も出版されますし、またファンが増えそうだなと思います。


◆参考文献、サイト
・原作『鬼滅の刃吾峠呼世晴集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
・『公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』吾峠呼世晴集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/

「戸次鑑連(立花道雪)」

「秋月種実」
「秋月冬種(大庭源馬)」
卜部季武
「カブトムシ」
「サイカチ」
・戦国武将列伝Ω1100記事
「秋月種実~大友氏に真正面から立ち向かった九州の反骨武将~」
https://senjp.com/akizuki-tane/
富士市商工会
「風の宮(風神宮)」
http://fuji-s.or.jp/kankou/archives/spots/kazenomiya
・安蘇神社公式サイト
http://asojinja.or.jp/
・夏貸文庫
「陰暦における月の異称」
http://www.natubunko.net/kotoba01.html

・名字と家紋
・STAG BEETLES
「日本ではいつごろからカブトムシが飼われ始めたのか」
http://kusami.com/stagbeetle/ja/2016/10/22/when-japanese-start-caring-rhinoceros-beetles/

 鬼滅の刃 風の道しるべ (JUMP j BOOKS)

 

鬼滅の刃 風の道しるべ (JUMP j BOOKS)

 

 


 

【ネタバレ含む】我妻善逸の考察

鬼滅の刃 3 (ジャンプコミックス)

このまま、善逸の単独表紙はないんだろうか…。

我妻善逸の名前の由来について考察をします。

甘露寺さんの次は伊黒さんをやらなければいけないような得体のしれない圧のようなものを感じていなくもないのですが、とりあえず筆が乗ったので善逸にしました。

いつも長文ですが思いの丈をいくら書いても良いというブログの売り文句を真に受け、いつも以上に長文です。

 アニメしか観ていない人には単行本最新刊までのネタバレを含みますので、ご注意願います。

◆まずはプロフィールから

我妻 善逸(あがつま ぜんいつ)
東京府牛込区(現:新宿 牛込)出身の16歳。
誕生日9月3日。
炭治郎の同期、雷の呼吸の使い手。
修行中、雷に打たれて髪が金髪になった。

黄色地に三角模様の羽織を羽織っている。

優れた聴覚の持主で、遠くの音はもちろん、人が嘘をついているかどうかや、鬼と人間を音で判別することもできる。


炭治郎の妹 禰豆子に一目惚れして一途に求愛と求婚を続けている。(公式によると禰豆子には珍妙なタンポポだと思われている。)

鬼狩りになったのは「女性に騙されて作った借金を育手(鬼殺の剣士の育成者)に肩代わりしてもらった」という理由から。


雷の呼吸は六型あるが、現時点で善逸が使えるのは一の型 霹靂一閃と、オリジナル 漆の型 火雷神二型のみ。
使える型こそ少ないが、一撃で倒せない場合、連続で繰り出す霹靂一閃 六連・八連、さらに速さを極めた霹靂一閃 神速などバリエーションを持たせている。

オリジナルで編み出した漆の型は、鬼に堕ちたかつての兄弟子 獪岳(かいがく)を斬る際に使われた。それまで善逸は気絶するように眠らないと実力を発揮できなかったが、これ以降は眠らずに戦う。


野山の花で花輪を作るのが得意。
お寿司や鰻、甘いものが好き。

 

田舎風でもないけどバリバリ都会育ちって感じにも見えないのですが、彼は新宿育ちだそうです。

他で語れそうなところがないのでここで語りますが、羽織の三角模様は家紋から来ていると思います。家紋での三角模様は「竜の鱗」を表します。

「雷の呼吸」の一派が同じ羽織を着ているので、「雷神=龍」を意味しているものだと考えられます。


◆善逸のモデルは?

善逸のモデルは源頼光(みなもとのよりみつ)がベースになっていると考えています。
頼光は頼公(らいこう)と呼ばれることも。らいこうはもちろん雷光と掛けています。
雷といえば該当するのは善逸です。
頼光には弟が鬼だったという伝承もあります。
石見神楽「大江山」の鬼退治メンバーでは、一番年上で、炭治郎たち同期組の中では善逸が一番年上であることも合致します。


また、物語版『大江山』の鬼退治のメンバーである藤原保昌(ふじわらのやすまさ)も設定に組み込まれていると思われます。
というのも保昌は本来、頼光とツートップのような立ち位置ですが、石見神楽『大江山』には登場しないため、石見神楽においては頼光がその役割を兼ねていると考えられるからです。

 

◆石見神楽『大江山』と善逸

神楽から由来していると思われるものは、善逸の戦い方と技にもあります。

まず善逸の戦い方の特徴といわれる「眠ると強くなる」、これは正確に言うと「本来の実力を発揮する」ですが、実はこれは善逸に限った特徴ではありません。

鬼滅の刃』においてはキャラクターが追い詰められた際、眠る•気絶•昏倒していまい、目覚めた直後に強くなったり新技を会得したりということは、キャラクターに関わらずわりと多くあるパターンです。

善逸の場合、アニメでのサブタイトルになったり、前後のギャップが大きすぎる上に回数が多いので、他より目立っているに過ぎないと私は思います。

そしてこの「意識喪失後パワーアップして復活」のパターンが、『大江山』の物語に由来していると考えられるのです。

大江山』にて部下と共に鬼退治に向かった源頼光は、夢の中で八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ)から「神変奇特酒(神便鬼毒酒)(じんべんきどくしゅ)」なる神酒を渡されます。

これは「鬼が飲めば力が弱り、人が飲めば力がみなぎる」という、鬼に「何だよその卑怯な道具」と言われんばかりのミラクルアイテムです。

頼光一行はこれを鬼に飲ませ、自分たちも飲むことでパワーアップして鬼退治に成功するのですが、『鬼滅の刃』でこのような酒の話はありません。

無惨戦において薬が無惨の力を弱らせる役割を果たしているのは、この『大江山』の神酒が元ネタになっているからだと考えられますが、いくら古典に由来するとはいえ、少年誌で主人公たちがお酒や薬でパワーアップは倫理的にNGでしょう。

そこでこの「夢で強くなるお酒をもらう」エピソードは「意識を失う、または夢で力や強くなるきっかけを与えられる」という形で活かされ、作品内で何度も見られる重要なシーンになったのだと思われます。

大江山』で夢の中で神酒を受け取ったのは頼光ですので、善逸に特にこの設定が大きく活かされているのはそのためだと考えられます。

 

もう一つ、石見神楽と善逸の技の関連も挙げておきたいと思います。
霹靂一閃のバリエーションである六連と八連ですが、これは石見神楽の六調子・八調子に由来すると思われます。
これは演舞する速さのことで、六より八の方が速くなります。
連撃の技だからと意味もなく六とか八とか付けたわけではなく、また攻撃数のみならず速さも表しているのです。

六連•八連の次が神速と名前に共通点が一見ないようですが、ちゃんと速さの順番になっていたんですね。

 

善逸の特徴は、石見神楽『大江山』からかなり多く取り入れられていることがわかります。 

 

◆設定に関連する神社は?

他のキャラクターと同様、善逸も神社に由来する設定があります。
もちろん雷に関わる神社ですが、雷を祀る神社は日本に数多くあるのもまた事実。
その中でも特に、次の二社が関係があると考えました。


まず、福岡県の雷(いかづち)神社。祭神は火雷神(ほのいかづち)または水火雷電神(すいからいでんしん)です。
天満宮も同じ敷地内にあり、禰豆子と関連があると考えられているカグツチも合祀されています。

 


もう一つは、出身地とされている新宿にある花園神社です。この神社はムカデや怨霊や鬼を退治した伝説を持つ藤原秀郷の子孫、内藤氏の土地に建てられたことから始まる神社で、ヤマトタケル弁才天を祀っており、末社に合祀された雷電神社があります。

雷の呼吸の使い手であると同時に花を愛するという設定は、出身地とされる神社からすでに読み取れることであり、「雷と花」が善逸のキャラクター設定において重要なキーワードであることがわかります。
ちなみに花園神社は近くにあるお饅頭屋さんが有名とのことですので、善逸の甘い物好きはここから由来しているのかもしれません。


◆我妻善逸の名前の由来は?

善逸はその名前も「雷」と「花」に由来するものだと考えています。

まずは苗字の「我妻」から見てみます。 これは雷に由来すると考えるべきでしょう。

我妻はあづまとも読み、雷はあずまとも読みますので、雷→あずま→我妻→あがつまとひねっていったと思われます。

我妻は地名にもありますが、ヤマトタケルの妻オトタチバナが夫を守るべく犠牲になった後、ヤマトタケルが「ああ、我が妻よ!」と嘆いたことが語源だと言う伝承があります。

 

ヤマトタケルも善逸の設定に取り入れられていて、ことあるごとに女の子を追いかけ、いろんな段階や距離感をすっ飛ばして妻を求める設定はこのエピソードから来ているのでしょう。


ヤマトタケルでもう一つ有名なエピソードは、行き違いから兄を殺害してしまうというものです。
もう一人のモデル 頼光には弟が鬼だったという伝承があります。

善逸の「鬼になった兄弟子を殺す」という話はこれらを組み合わせて出来上がったのだと考えられます。


ただ大きく違う点は、ヤマトタケルは兄を殺害したことで父から疎まれることになりますが、善逸は親代わりのような師匠(育手)に愛されたことが、兄弟子の不満と裏切りを生み、斬るに至ってしまうというところです。

ここは吾峠先生の作品個性が感じられる部分で、同じ兄を殺すエピソードでもかなり印象が違ってくると思います。


次に下の名前「善逸」を見てみます。

「ぜんいつ」という名前は今のところ、『鬼滅の刃』以外では見ない名前ではないでしょうか。かなり個性的で珍しい名前だと思いますが、これは花にまつわる名前だと私は考えています。


まず「善」ですが、これは福岡県の土居善胤(どい よしたか)氏の善から一字もらっていると考えました。

それは誰?と思う人が多いかもしれませんが、少なくとも福岡ではよく知られている人ではないかと思います。

土居善胤氏は、福岡県で伐採されそうになっていた桧原桜(ひばるざくら)という桜を人の想いを繋ぐことで守った「花守」と言われる人です。
土居氏はその時の出来事を「花かげの物語」という本にして出版しており、福岡の学生さんは学校教材でこの話を読んでいるらしいです。
つまり福岡で学生時代を過ごした人には、花といえばこの人というくらいかなり思い浮かべやすい名前であると考えられます。

花かげの物語

花かげの物語

  • 作者:土居義胤
  • 発売日: 2002/03/23
  • メディア: 単行本
 

↑広告の作者名、間違ってますね。ひやっとしました。

見にくいけど本の表紙は「善」になっています…。

善逸が愛する禰豆子の名前は、その漢字を五禰豆(ゴネズ)という花の名前から取られていると考えられ、花である彼女を一心に守る善逸に「花守」の名前が入っているのはいかにもぴったり合う感じがします。
また、吾峠先生や土居善胤氏を知る人たちにはこの善の字と花が好きというキーワードを合わせれば、花に関する漢字ではなくても日本の代表的な花である桜がおのずと連想されるのでしょう。


それでは、善逸の逸はどこから由来しているのかというと「隠逸花」から取られたのではないかと私は思います。

隠逸花とは「菊の別名」で「暗闇の中でも清らかな香りでそこに菊があるとわかる」という意味です。

これを踏まえると、炭治郎の「俺は鼻が利くんだ」「最初からわかってたよ」「善逸が優しいのも強いのも」という台詞も味わいあるものになると思います。

 

今でこそ仏壇をイメージしてしまうかもしれませんが、菊は古代から秋を代表する神聖な花です。
菊は「聴く」にも掛かりますし、耳がよいという善逸の設定にも合います。

電気照明を使って開花時期を調整する電照菊という栽培方法も知られており、花の中では雷電とのつながりを感じられやすいものかもしれません。

炭治郎とつながりがある熊野の花祭りではタンポポみたいな菊の造花が使われますし、天神(雷神)を祀る天満宮では菊が神紋の一部として使われていたこともありました。

 


また、九州には菊池氏という藤原姓から改名した一族がいるそうで、菊と藤にはつながりがあります。
藤の字を入れなくても、菊が藤を意味しており、善逸は藤原保昌の設定を取り入れていることがここからも読み取れるのです。

こうしてみると、善逸に含まれる花のイメージは、春の桜、秋の菊、初夏の藤が含まれており、雷神・菅原道真藤原保昌のつながりで冬の梅も含まれているとも言えると思います。

花の字を一つも使っていませんが、日本の四季の花が名前に入っているのです。

 

作品内では善逸は「タンポポ」という表現されており、決して菊とは出てきませんが作者としては善逸は菊をイメージしているのではないかと私は思います。
善逸の誕生日花はマーガレットですが、和名はモクソウギク。菊です。
ただ、善逸が黄色い菊の外見イメージだとすると、黄色い菊の花言葉は「破れた恋」ですので善逸が報われる日は来るのか、というのがちょっと気になるところではあります。

基本的に失恋続きのキャラクターは、こういうところでも表現されているのかもしれません。

 

◆なぜ雷に花なのか?

花園神社から花と雷の取り合わせを説明してきましたが、そもそもなぜ吾峠先生は雷と花を取り合わせようと思ったのか、私なりに考えてみました。
考えられる理由は二つあります。
一つは雷神として祀られる菅原道真菅原道真と梅花の取り合わせは一般的に有名なものです。
そしてもう一つ、これは善逸の髪が金髪になるきっかけとなった話から読み取れます。
吾峠先生が調べたであろう資料の人物の中に「雷に打たれた」という同じ経験を持つ人がいます。
煉獄杏寿郎のモデルにもなった、九州の武将 戸次 鑑連(べっき あきつら)です。
彼は雷に打たれても生き延びたことから「雷神」の二つ名を持っていました。
戸次鑑連のもう一つの名前は「立花 道雪(たちばな どうせつ)」。名前に花が入っています。

どちらも九州 福岡県には縁のある人物であり、吾峠先生とって雷神には花が付き物であり、欠かせなかったのだろうと考えられます。


◆いわゆる ぜんねず

善逸と禰豆子いわゆる「ぜんねず」について考えてみたいと思います。

作品内でいえば禰豆子は善逸からすると同期の隊士の妹であり、狩りの対象である鬼でもあるので禁断の恋とも言えますが、本人は一度もそんなことを考えたことはない様子。

一方の禰豆子は鬼にされてから意識が幼児化してしまい、善逸のことはタンポポだと思っているとのこと。

そんな二人の関係について設定の観点から考察してみたいと思います。


善逸と禰豆子は設定の時点で関係のあるものがいくつも組み込まれています。

まずネットでも善逸オリジナルの技 火雷神と禰豆子の鬼を燃やす血鬼術 爆血からみるホノイカヅチとカグツチの関係性が錆兎氏の考察動画などでも指摘されています。
共にイザナミから生まれた火神で、福岡県の雷(いかづち)神社では共に祀られています。

そして藤原保昌和泉式部の関係です。
善逸には藤原保昌ヤマトタケルの両方が設定に組み込まれていると思いますが、禰豆子との関係はヤマトタケルとオトタチバナではなく、藤原保昌和泉式部が原型ではないかと考えています。
善逸と禰豆子は少なくとも作品内では両想いではなく善逸の片思いですし、禰豆子がオトタチバナのように善逸を庇って犠牲になるような描写はありません。


藤原保昌和泉式部のエピソードで花といえば有名なのは祇園祭の山鉾でも有名な「保昌山」。元の名前は「花盗人」。
和泉式部の願いを受けた保昌が危険を侵して御所の梅の枝を手折ってくる話です。
禰豆子は善逸にその気は今のところなさそうですが、今後気持ちが傾くことがあったとしても、自発的に炭治郎から離れるという状況もちょっと思い浮かばないので、最後は善逸が飛車みたいに花である禰豆子をかっさらっていくのかなーという想像はあります。が、想像の域は出ません。

ちなみに和泉式部弁才天ともつながりがあります。

禰豆子の設定に和泉式部が一部モデルとして組み込まれているとするなら、善逸の設定に関係する神社、花園神社にもつながりがあることがわかります。花園神社の祭神は、ヤマトタケル弁才天なのです。

二人は設定の時点で複数の結びつきがあり、原型になっていると考えられる藤原保昌和泉式部は夫婦になっているので、きっとうまくいくのだろうと思います。


◆まとめ

以上、長々語りましたがまとめるとこんな感じです。

・善逸の名前は雷と花に由来する。
・モデル大庭は源頼光をベースに、藤原保昌ヤマトタケル、戸次鑑連(立花道雪)が少し。

・我妻は雷、善は土居善胤氏から、逸は菊の別名・隠逸花から。

・設定に関係する神社は雷神社と花園神社。

善逸の名前は名字は雷というわかりやすいモチーフと、花という初見では見えにくいモチーフが潜んでいて、特に下の名前「善逸」は読み解きが難しかったですが、自分なりに結論を得た時はその情報量の多さに驚きました。

ヘタレに始まり、モテない陰なキャラからボケツッコミ、やる時は期待以上にやるかっこよさまで幅広くこなすある意味、万能キャラクター我妻善逸。

死戦を潜り抜け、無事に生き延びて幸せになってくれればいいなと思います。


◆参考文献、サイト、動画
・原作『鬼滅の刃吾峠呼世晴集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
・『公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』吾峠呼世晴集英社出版 掲載紙 週刊少年ジャンプ
・『鬼滅の刃 しあわせの花』吾峠呼世晴・矢島綾 著 集英社出版
・石見神楽公式サイトhttp://iwamikagura.jp/
・秋の夜長に勝手に石見神楽を解説しようじゃないか。
http://iwamikagurawota.hatenablog.com/
wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/
源頼光
藤原保昌
「雷神社(福岡県糸島市)」
「菊池」
ヤマトタケル
和泉式部
弁才天
・花園神社公式サイト
http://www.hanazono-jinja.or.jp/

・漢字辞典ONLINE.https://kanji.jitenon.jp/kanjic/1298.html

「雷」

・全力EXPRESS!
「桧原桜と「桜のリレー」(土居善胤)の現在の画像や場所はどこ?」
https://zenryoku-express.com/hibaruzakura/
・『花かげの物語』土居善胤著 出窓社出版
・花を飾る
「花のお話その43 菊は花の隠逸(いんいつ)なるものと定められてより」
 https://hana.ureagnak.com/hana_topic_43.html
花言葉-由来
https://hananokotoba.com/
「キクの花言葉
「9月3日の誕生花」
・HORTY~ホルティ~by Green Snap
「【菊(キク)の花言葉】花が咲く時期や見頃の季節は?」https://horti.jp/13218
・pixiv百科事典 https://dic.pixiv.net/
「我妻善逸」

・アニメ「鬼滅の刃 炭治郎立志編」「映画 鬼滅の刃 無限列車編」©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable

・錆兎の考察チャンネル「鬼滅の刃】善逸の捨て子時代について。禰豆子を妻にしたい理由とは?【きめつのやいば】https://youtu.be/25arsj3snTI

 

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